高専生田中の日常 (ページ12)

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田中ページ12

ｺﾝｺﾝｯ))

23時30分過ぎ。

ふと部屋の扉が音を出す。

｢…誰？｣

『あ！五条先輩！帰ってきたっす！！』

小さな声で、それでもその声を聞くだけで少し頬が緩む。

そしてドアを開けた。

そこには

『五条先輩！帰ってきましたっす！約束守ったっすよ！』

五条との約束を守ったとて見返りに何があるって訳でもない。

ただ、五条との約束を守るためだけに急いで帰ってきたのだった。

五条にはそれがたまらなく嬉しかった。

ｶﾞﾁｬ))

扉を開けると小さい体の彼女が目に映る。

そんな田中の姿を見た瞬間、

考える間もなく五条の手が伸びた。

そっと抱き寄せ、少し強めに抱きしめる。

『え、ちょっ、五条先輩？？』

特に抵抗することなく受け入れる田中。

『どうしたんすか？？』

五条の手と体は田中の存在を確かめ、五条の心は田中がいることへの安心感とどこか怪我してないかの心配が混ざりあっていた。

｢…おかえり、田中。｣

『はいっす、五条先輩。』

五条にむぎゅむぎゅされてる中で、気道を確保しようともがく田中。

｢…田中、お前の名前教えて｣

『…ぅ…はぃっす、……田中、ソラ…です。』

抱きしめられながら五条に聞かれる。
田中はもう答えるだけで精一杯のようだ。

｢……ソラ、｣

『…ぅはぃっす、なん、…すか。』

｢おかえり、ソラ。｣

安心したような声に、確かめるかのような腕。

『はいっす！五条先輩！』

それを振り解けるほど、田中も察せないわけじゃない。