黒田ん子47 ページ8
ゲートをくぐれば本丸近くの自然豊かな山…ではなく現世の大都会。久しぶりに見る現世に城井は嬉しそうだ。
「福岡街みたい」
「そうだな。市博の周りはすっかり開発されたからなあ」
審神者から支給された端末で現在地から水族館までの道のりを調べ、そちらへと向かっていく。
キョロキョロとあたりを興奮気味に見回す城井が迷子になってしまわないように、長谷部は彼女の手を掴んだ。
「ここではぐれたら本丸に戻れなくなるぞ」
「それは嫌やね。ごめん長谷部」
「分かればいい」
「……離さんの？」
「この先さらに人通りは増える。リスクは最小限に止めるべきだからな」
顔を逸らした長谷部を城井は見上げる。表情は見えなくても、耳が赤く染まっているものだから、長谷部が何を考えているのか手に取るようにわかってしまった。伊達に長く一緒には居ないのだ。
からかってやろうかと一瞬考えた城井だったが、それはやめた。
だってせっかく長谷部が自分から慣れない事をしてくれているのだ。それを無碍にするほど、城井は空気の読めない刀剣ではなかった。
「そやね。迷子になって主からのおつかい出来んくなったらそれこそ勿体無いもんね。でも、ちょっとよか？」
城井は長谷部の手から抜け出す。勢いよく掴まれたせいで収まりが悪かった。
「これならお互い痛くないけんね」
短刀たちと手を繋ぐ時のように優しく長谷部の手を握りなおす。
さあ、行こう。
今度は城井が長谷部を引っ張るように歩き出した。
「水族館、楽しみやねえ長谷部」
「そうだな」
遠くに大きな建物が見えてきた。
目的地を同じとする人が1組、また1組と増えていく。
「あ、でも任務ってこと忘れとらんよ。長谷部もはしゃいで忘れんごとね」
「お前じゃあるまいし、忘れるものか」
それもそうかと笑う城井を長谷部は眩しいものを見るように目を細めた。
城井はこれを任務としか思っていない。
だが、これは審神者が長谷部に与えたチャンスであり試練なのだ。
(逢瀬……まさか城井と共にとは思わなんだ)
だが、それ以外の誰かとの逢瀬はもっと想像できない。
困ったことにすとんと納得してしまっている自分がいた。
「あ、もうすぐショーが始まるげな！早よ行くばい！」
「おい、引っ張るな！」
物思いに耽る長谷部を引き戻すように城井は長谷場の手を引っ張った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 515人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
time rain(プロフ) - 返事がない只の屍のようだ。さん» 初めまして。こちらこそ読んでいただきありがとうございます！さらに公式で兄さんが増えてしまった城井ちゃんの攻略は上がるばかりですね。長谷部は大変ですw (2021年12月23日 9時) (
レス) id: f96f3e1548 (このIDを非表示/違反報告)
返事がない只の屍のようだ。 - 初めまして！頑張れ！シュメイアラバー！！と応援しながら一気に読みましたw(*´∇｀*)素敵な萌えをありがとうございます！！セコムさんや小さい兄さんらも大好きですv(*^ω^*) (2021年12月21日 14時) (レス) @page8 id: 2157a47614 (このIDを非表示/違反報告)
のっぺらぼう - 心から続きを所望するのですが、どうか最後まで作品を完成させていただけませんか？ (2020年2月8日 15時) (レス) id: a6daf906d1 (このIDを非表示/違反報告)
のっぺらぼう - どうも、続きが楽しみで仕方がない民です。長谷部推しなのでこの小説はやばいです(褒め言葉) (2020年2月3日 4時) (レス) id: a6daf906d1 (このIDを非表示/違反報告)
time rain(プロフ) - カコさん» アイデアをありがとうございます！水族館いいですね！しかも、パフェアーンですと！？「黒田」と考えれば微妙ですが、「長船」と考えればやりかねないですね笑。参考にしてみます！！ (2018年11月30日 16時) (レス) id: f96f3e1548 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：time rain | 作者ホームページ：http://id34.fm-p.jp/455/sigureneko/
作成日時：2018年11月23日 9時
