黒田ん子41 ページ1
喧嘩して、仲直りして、あの騒動からかなり日が進んだある日のこと。
城井兼光は第一部隊の帰りを今か今かと待ちわびていた。
「城井。そんなに焦んなくても大丈夫だって」
「でも厚、久々なんやもん。うれしくなかと？」
「まあ、城井の気持ちもわかるばい、俺も日本号に会うんは久々やけん」
「たしかに、僕も久々だ」
「博多に小夜まで…」
第一部隊が日本号を発見し、保護したという連絡を受けてから、馴染み深い4人は門の前でそわそわはその到着を待っていた。
「開門！！！」
鋭い声が響き、ゆっくりと門が開かれる。
「日本号！！」
見慣れた特徴のある鞘。
美しい螺鈿。
黒田家家臣
母里太兵衛が福島正則から取った、通称吞み取りの槍。
城井や長谷部と同じ博物館に収蔵される黒田の宝。
城井は目を輝かせて日本号の元へと向かった。
「お、嬢ちゃんじゃねえか」
背の高い日本号は城井をひょいと抱き上げてくるくる回る。
「元気してたか？」
「うん！あったりまえやん。博多も小夜も厚もおるよ」
「そりゃあいい」
日本号は城井を下ろした。
と同時に城井は後ろに引っ張られ体勢を崩す。
「おっとと。何ね引っ張らんでよ」
支えられたが、支えた男が引っ張った本人であるとわかっているので城井は軽く睨む。
しかし彼はどこ吹く風。
「遅い」
「そりゃあ悪かったな。しっかしまあ…」
日本号は城井と長谷部を交互に見る。
「嬢ちゃんの様子じゃ、まだってところか」
「せからしい。主人の元へさっさと挨拶しに行け」
「へーへー。嬢ちゃん後でな」
「夕餉は宴ばい、楽しみにしとき」
日本号は母屋の方へ消えていった。
しかし長谷部は城井を支えた体勢のまま動こうとはしない。
むしろ力を強めた。
「痛い」
「……」
「長谷部」
「そこまでな」
「い゛っ」
誰かの鞘が長谷部の脳天に叩きつけられる。
もっとも、声からして厚藤四郎であることはわかるのだが。
「何をする！」
「それはこっちのセリフだぜ長谷部。城井にだって用事があるんだ」
離してやれよ。
厚の言葉で長谷部はようやく城井を支えていた手を離した。
「すまなかった」
「いや別によかけど…」
続きを言おうと口を開く前に厚から手を取られる。
「さて、手合わせ行こうぜ城井。早く行かねえと場所無くなっちまう」
「う、うん。長谷部またあとでね」
「とっとと行ってこい」
道場に向かいながら城井は厚に尋ねた。
「最近長谷部なんかおかしくなかね」
「あー…あー…うん、大丈夫だろ」
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time rain(プロフ) - 返事がない只の屍のようだ。さん» 初めまして。こちらこそ読んでいただきありがとうございます！さらに公式で兄さんが増えてしまった城井ちゃんの攻略は上がるばかりですね。長谷部は大変ですw (2021年12月23日 9時) (
レス) id: f96f3e1548 (このIDを非表示/違反報告)
返事がない只の屍のようだ。 - 初めまして！頑張れ！シュメイアラバー！！と応援しながら一気に読みましたw(*´∇｀*)素敵な萌えをありがとうございます！！セコムさんや小さい兄さんらも大好きですv(*^ω^*) (2021年12月21日 14時) (レス) @page8 id: 2157a47614 (このIDを非表示/違反報告)
のっぺらぼう - 心から続きを所望するのですが、どうか最後まで作品を完成させていただけませんか？ (2020年2月8日 15時) (レス) id: a6daf906d1 (このIDを非表示/違反報告)
のっぺらぼう - どうも、続きが楽しみで仕方がない民です。長谷部推しなのでこの小説はやばいです(褒め言葉) (2020年2月3日 4時) (レス) id: a6daf906d1 (このIDを非表示/違反報告)
time rain(プロフ) - カコさん» アイデアをありがとうございます！水族館いいですね！しかも、パフェアーンですと！？「黒田」と考えれば微妙ですが、「長船」と考えればやりかねないですね笑。参考にしてみます！！ (2018年11月30日 16時) (レス) id: f96f3e1548 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：time rain | 作者ホームページ：http://id34.fm-p.jp/455/sigureneko/
作成日時：2018年11月23日 9時
