22 ページ23
蘇芳が顕現して数週間が過ぎた。すっかり本丸にも慣れ、江以外の友人と呼べる刀たちも増えた。
戦場、遠征、内番…。くるくると目まぐるしく動く日々が楽しくて仕方がなかった。
「これは…なかなかの大物」
畑にしゃがみ込み、蘇芳は大根に手をかける。ぐっと引っ張ってみるが深く根を張っているようでうまく抜けない。
「福島さん、そちらのスコップを取ってもらってもいいですか？」
「どうぞ。おや、中々の大物だ」
「そうでしょう！そうでしょう！掘り出してみますね！」
「手伝おう。大物を君にだけ任せるわけにはいかないしね」
厨当番の刀たちに頼まれた野菜を収穫し、カゴに入れていく。今日も大量だ。
「このぐらいで十分かな。俺は道具を片付けておくよ。君は先に彼らを厨へ運んでくれるかな？」
「はい！任せてください」
野菜たちが入ったカゴを抱えて、福島と別れた。こういう時ばかりは人間よりも強い腕力があって良かったと山盛りの野菜が転げ落ちないようにだけ気をつけて畑から出た。
「蘇芳！」
母屋へ辿り着いたあたりで聞き慣れた声が飛んできた。縁側に座る豊前江の姿が見え、パッと振り向いた。
「今日は畑当番だったんだな」
「うん。豊前は……あれ、桑名？」
よくよく見てみれば座る豊前の膝を枕に桑名が横になっていた。
「相変わらずだね」
「豊前の膝は最高だよ。蘇芳はまだして貰ってないんでしょ？代わる？」
「ううん。今からコレを届けないといけないから」
カゴを見せれば桑名は大量だねと笑った。
「厨当番がきっと美味しいご飯を作ってくれるよ」
「そりゃあ楽しみだ」
「そうだね。いってらっしゃい蘇芳」
「うん。行ってきます」
二人と別れて蘇芳は厨へと向かった。当番の男士は大量の野菜を見て嬉しそうに褒めてくれた。
戦いではないけれど、仲間と過ごす日々が楽しくて仕方がなかった。審神者が言った通りだと蘇芳は日々を楽しんでいた。厨に野菜を届けた後は風呂場に向かい、さっと汗を流した。豊前たちはまだいるだろうかと先ほどの縁側に向かえば彼らはまだ寛いでいた。
「お、戻ってきたね。それじゃあ僕はこの辺で。蘇芳にも豊前の膝を譲らないとね」
蘇芳に気がついた桑名は蜻蛉切のところへ行ってくると言って去ってしまった。
「別にいいんだけどな。邪魔しちゃったみたい」
「気にするな。あいつなりの気遣いだよ。それでどうする？やるか？」
ぽんぽんと豊前は自身の膝を叩く。蘇芳は少し悩んでから頷いた。
続く (更新停止中)
お気に入り登録で更新通知を受け取ろう
←21
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 78人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
yuuuuui_0131(プロフ) - 更新ありがとうございます！！本当に大好きです！！無理せずに更新頑張ってください！応援してます！！！！ (6月8日 21時) (
レス) @page23 id: 8c737f26a1 (このIDを非表示/違反報告)
time rain(プロフ) - らむさん» らむさんありがとうございます！あまり更新頻度は高くありませんが、完走できるよう頑張ります！ (2022年1月5日 9時) (レス) id: f96f3e1548 (このIDを非表示/違反報告)
らむ(プロフ) - 凄く好きです…！！！！更新を楽しみにしています！ (2021年12月28日 16時) (レス) @page6 id: 39bdeb846c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：time rain | 作者ホームページ：http://id34.fm-p.jp/455/sigureneko/
作成日時：2021年12月19日 12時
