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入って来た同派の仲間たちは蘇芳が起き上がれるまでに回復しているのを見ると一同に胸をなでおろした。
「よかった。豊前が運び込んできた時は本当に青白くて心配していたんだ」
蘇芳の頬に触れながら松井はその体温の高さに深く息を吐く。目に見えてあの時の蘇芳は出血により体温を酷く奪われてしまっていた。
「何か食べたいものがあれば持ってきますよ。喉は乾いていませんか？」
空になったコップに気が付き篭手切りが申し出てくれる。蘇芳は首を振り、もう十分飲んだと伝えた。
「豊前から、皆が色々してくれたって。ありがとう」
「このぐらいお安い御用だよ。僕たちだって通った道だし、これからもきっと通る道だからね。お互い様だよ」
これはお見舞いだと桑名が桃を差し入れてくれた。見たことはあるが食べたことのないそれに困惑していると後で豊前が切ってくれると約束してくれた。
「最初は俺もボロボロだったもんねぇ。蘇芳だけじゃないし、これから強くなればいいよ」
お腹は痛くないか、寒くないかと村雲が気遣ってくれる。
「遠征も楽しいものですよ。今度一緒に季語を見つけに行きましょう」
これは今日の遠征先のお土産だと五月雨が花をくれた。
時間が来るまで様々な事を話した。お互いの事、この本丸で蘇芳が来るまでにあった愉快なこと。体験したことのない話に蘇芳は目を輝かせるばかりだった。
「畑当番も早くやってみたいし、馬当番も楽しみだな」
「蘇芳、そんなこといったら桑名にこき使われてしまうよ」
「そんなことはしないよ。蘇芳はちゃんと働いてくれそうだし」
やがて時間が来る。今日一杯は手入れ部屋にいなければならない蘇芳を置いて他の皆は部屋に戻る時間だった。
またね。また明日。もし折れていたらもらうはずのなかった言葉が嬉しくてたまらなかった。
「みんな、また明日。おやすみなさい」
パタンと襖が閉められる。突然やってきた静寂に僅かに体を震わせた。早く明日にならないだろうか。にぎやかだった分この静寂は心臓が痛くて堪らなかった。早く眠ってしまえと布団に潜り込んだ。
「どうして……私なんかにあんなにやさしくしてくれるんだろう」
一度は贋作の折り紙を付けられた自分に。
「桃、おいしかったな」
七振で分けるとあっという間に桃はなくなってしまったけれど良く熟れていて甘かった。今度は私がみんなに何かしてあげれるようになりたい。早くいろんなことを覚えなければ。逸りと焦りに包まれながら蘇芳は眠りについた。
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yuuuuui_0131(プロフ) - 更新ありがとうございます！！本当に大好きです！！無理せずに更新頑張ってください！応援してます！！！！ (6月8日 21時) (
レス) @page23 id: 8c737f26a1 (このIDを非表示/違反報告)
time rain(プロフ) - らむさん» らむさんありがとうございます！あまり更新頻度は高くありませんが、完走できるよう頑張ります！ (2022年1月5日 9時) (レス) id: f96f3e1548 (このIDを非表示/違反報告)
らむ(プロフ) - 凄く好きです…！！！！更新を楽しみにしています！ (2021年12月28日 16時) (レス) @page6 id: 39bdeb846c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：time rain | 作者ホームページ：http://id34.fm-p.jp/455/sigureneko/
作成日時：2021年12月19日 12時
