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起きあがろうとした蘇芳にそのままで良いと静止をかけ、審神者は口を開く。
「結論から言おう。蘇芳、君は無事に真剣必殺を発動させた」
覚えているかい？と審神者は尋ねる。蘇芳は首を振り、ただがむしゃらだったと答えた。
「胸の奥がバクバクとして、全身が熱くなって。許せないって、負けたくないって思っていたらああなっていました」
「それが君の原動力なのだろうね。その感覚を決して忘れては行けないよ」
「でも、敵を逃しました」
「…そうだね」
審神者は先ほどの戦場の光景をを思い出す。指揮を取るのは自分の役目で、彼ら刀剣はそれを実行しているに過ぎない。なのに結果が伴わない時、いつだって審神者ではなく自分自身を責めるのだ。
「確かに君は敵を逃した。だが、短刀一振り残して向こうもできることはなかったのだろう。撤退して行った」
「と、いうことは…」
「歴史は守られた。君のおかげでね」
将としてできるのはこうして自責の念に潰されそうになる刀剣を守ることだけだった。
じわりと蘇芳の瞳に涙が浮かぶ。
ああしまった。泣かせるつもりはなかったのに。
蘇芳は溢れる涙を隠すように両腕で目元を隠す。強がりな初期刀も昔こうして涙を隠していたと少し懐かしさすら感じた。
「主様…」
「なんだい？」
「どうしたら、強くなれますか。どうしたら負けずに済みますか。どうしたら江の刀として、主様の刀として、胸を張って生きていけますか」
絞り出すような声だった。
「沢山食べて沢山眠って。沢山手合わせをして沢山戦場に出る。少なくともここにいる刀達はみんなそうやって強くなっていったよ。勿論、江の子達もね」
そのためにまず必要なことは休息だ。手入れは終わったが、人の身を得たばかりの彼女に無理をさせるべきではなかった。
「蘇芳。明日まではゆっくりお休み。初めての戦場の話を兄弟にしてあげるといい」
襖の向こうを見て審神者は笑った。心配そうに聞き耳を立てる影がひい、ふう、みい…6つ。
「さて、邪魔者は仕事に戻ろうか。それじゃあ蘇芳。お大事に」
「はい。主様、ありがとうございます」
「…お礼を言われることじゃないよ。自分は君が大怪我するとわかっていて送り出したのだから」
「それでも、です」
蘇芳のまっすぐな瞳に審神者は気圧される。苦笑いを浮かべながらありがとうとだけ返した。
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yuuuuui_0131(プロフ) - 更新ありがとうございます！！本当に大好きです！！無理せずに更新頑張ってください！応援してます！！！！ (6月8日 21時) (
レス) @page23 id: 8c737f26a1 (このIDを非表示/違反報告)
time rain(プロフ) - らむさん» らむさんありがとうございます！あまり更新頻度は高くありませんが、完走できるよう頑張ります！ (2022年1月5日 9時) (レス) id: f96f3e1548 (このIDを非表示/違反報告)
らむ(プロフ) - 凄く好きです…！！！！更新を楽しみにしています！ (2021年12月28日 16時) (レス) @page6 id: 39bdeb846c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：time rain | 作者ホームページ：http://id34.fm-p.jp/455/sigureneko/
作成日時：2021年12月19日 12時
