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見守っていた審神者と豊前は無事に真剣必殺を出した蘇芳に胸をなでおろす。これで蘇芳も他の男士同様戦場に出すことができるのだから。
「良かった。良かった。さて、帰還させなければ……っああ、いけない！」
審神者が蘇芳に指令を送ろうとした矢先、敵短刀が蘇芳の腹を貫いた。ゆっくりと地面に崩れ落ちる蘇芳。豊前はそれより先を見ることなく出陣ゲートへと駆けだした。審神者もそれを引き留めることはせず、すぐに強制撤退プログラムを起動させた。
『重傷者発生。重傷者発生。医療班はすぐに手入れ部屋に集合せよ。繰り返す……』
同時に本丸中にアナウンスが響きわたり、医療に心得がある男士たちがバタバタと騒がしく廊下を行き来する。画面の向こうで蘇芳の体が薄くなっていくのが見える。無事に撤退する準備が整ったようだ。
「すまない蘇芳」
審神者は決行ボタンを押した。光に包まれ、蘇芳の姿は完全に戦場から姿を消した。
画面には『敗北』の文字が審神者を責めるようにくっきりと映し出されていた。
§
その体が戻ってくるよりも早く豊前はゲートの前にいた。ゆっくりと形を成していく愛おしい少女の体を抱きとめる。たくさんの血を失ったその体はあまりにも冷え切っていて、慌ててジャケットを被せた。
「蘇芳、蘇芳。聞こえるか？」
「……うぅ、ぶぜ…？」
わずかに目を開けた蘇芳だったが、その目はすぐに閉じられた。どっと心臓から嫌な音がし、冷や汗が噴き出した。大丈夫だとわかっているのに、腕の中のものが今にも形を失ってしまいそうで恐ろしかった。
「豊前！手入れ部屋の準備できたって！」
「一人で運べる？」
呼びにきた桑名と松井の声に我にかえる。手助けは不要だと断って蘇芳を抱え直した。
「悪いけど、蘇芳が起きた時のために水とか持ってきてくんねえ？」
「それは雲くんたちがやっているよ」
「篭手切も布団を出したり駆け回っていた。…蘇芳は大丈夫だよ豊前。主がいる」
「わーってる。本当に頼りになる奴らばかりだよお前たちは」
ありがとうなと笑って見せた。今までだってこうだったのだから。折れずに本丸まで帰ってこれたのなら自分達の体はなんとでもなる。今回だってそうに違いないのだから。
豊前は手入れ部屋へと急ぐ。やってきた時のように全力で走ることはしない。傷だらけの少女が起きてしまわないよう、はやる心を抑え込んで廊下を歩いた。
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yuuuuui_0131(プロフ) - 更新ありがとうございます！！本当に大好きです！！無理せずに更新頑張ってください！応援してます！！！！ (6月8日 21時) (
レス) @page23 id: 8c737f26a1 (このIDを非表示/違反報告)
time rain(プロフ) - らむさん» らむさんありがとうございます！あまり更新頻度は高くありませんが、完走できるよう頑張ります！ (2022年1月5日 9時) (レス) id: f96f3e1548 (このIDを非表示/違反報告)
らむ(プロフ) - 凄く好きです…！！！！更新を楽しみにしています！ (2021年12月28日 16時) (レス) @page6 id: 39bdeb846c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：time rain | 作者ホームページ：http://id34.fm-p.jp/455/sigureneko/
作成日時：2021年12月19日 12時
