検索窓
今日:4 hit、昨日:6 hit、合計:11,255 hit

13 ページ14

「もう出るのか」
「あ、豊前」

出陣ゲートの前で待っていてくれたらしい豊前に気が付き、蘇芳はそちらへパタパタと駆けて行った。

「……。本当に一人で行くのか?」
「それが主様からの指示だもの」
「今からでも主に言って……」
「駄目だよ。今から私は怪我をしに行くんだから。一緒に来たら豊前まで怪我しちゃう」

 豊前は蘇芳の言葉にキュっと顔を顰めた。何かを言いたげに蘇芳を見下ろし、大きくため息を吐く。

「気ぃつけろよ」
「うん。江の名を汚さない働きをしてくるよ」
「まあ、今はそれでいいよ」

 豊前は仕方ないといったふうに笑った。

「出陣先は? ゲートのやり方教えちゃるよ」
「ありがとう。出陣先は幕末の京都。鳥羽伏見の戦いの末期だって」

 豊前はその通りにゲートへ入力していく。

「大砲とか鉄砲とかもあっから本当に気ぃ付けろよ」
「危ないときは主様が強制帰還させてくれるみたい。そのためにも単騎なんだって」
「そうならずに戻ってきてくれるのが一番いいんだがな」

 ゲートが起動し、時代がつながったようだ。機械音が止まり、ゆっくりとゲートが開かれていく。ぽかりと空間が広がり、ここを潜ればそこは間違いなく戦場なのだ。
 蘇芳はゆっくりと息を吸い、吐きだした。腰に下げた刀を握り一歩踏み出す。

「それじゃあ、行ってきます」
「おう。……行ってこい」

 ゲートに足を踏み入れる。僅かに視界が揺れる。
 振り向くとすでにそこに本丸も豊前の姿も無く、広がっているのは戦場だけだった。

「どんな場所でも、私にできることをやり切るだけ」

 まずは偵察だと身を隠せる場所を探すことから始めることにした。

14→←12



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (29 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
78人がお気に入り
設定タグ:刀剣乱舞 , 豊前江 , 刀剣女士
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

yuuuuui_0131(プロフ) - 更新ありがとうございます!!本当に大好きです!!無理せずに更新頑張ってください!応援してます!!!! (6月8日 21時) (レス) @page23 id: 8c737f26a1 (このIDを非表示/違反報告)
time rain(プロフ) - らむさん» らむさんありがとうございます!あまり更新頻度は高くありませんが、完走できるよう頑張ります! (2022年1月5日 9時) (レス) id: f96f3e1548 (このIDを非表示/違反報告)
らむ(プロフ) - 凄く好きです…!!!!更新を楽しみにしています! (2021年12月28日 16時) (レス) @page6 id: 39bdeb846c (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:time rain | 作者ホームページ:http://id34.fm-p.jp/455/sigureneko/  
作成日時:2021年12月19日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。