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「……蘇芳には俺に作って欲しいっちゃけど」
ポツリと呟いた豊前に蘇芳は首を傾げながら彼を見やる。
「豊前？」
「新しいやつにはほら、村雲の順番を今回俺がとっちまったからさ。あいつに任せて、蘇芳には練習も兼ねて俺のために作って欲しい……ってわりいなんでもねえ」
しまったと豊前は慌てて口をつぐむ。しかし今度は蘇芳も流石に見逃しはしなかった。おずおずと手を伸ばし、豊前頬に触れる。そのまま目の下を陶器に対するように優しく指で撫でた。
「豊前も、眠れないの？」
「たまにな。やけん、そんそん時に頼めんやろか」
「私が作ったの飲んだら、豊前は眠れる？」
「蘇芳が作ってくれたらきっとな」
睡眠が人の体に大切なことは顕現したばかりの蘇芳もわかっている。顕現して長い豊前でも眠れない日があるのかと、目の前の美しい刀は無理をしているのではないかと蘇芳は心配そうに豊前を見る。その視線に応えるように微笑む彼からは何も読み取ることができなかった。
でも……。
「豊前がそう望むなら。豊前のために作るよ」
「本当か？」
「うん。でも、その前に作り方覚えなきゃ」
「お互い非番の時に教えちゃる」
豊前が喜ぶのなら、蘇芳はなんだってよかった。
豊前は蘇芳が飲み終わるまで待っててくれた。その間彼がこの本丸に来てからの話をしてくれた。
やがてカップの中は空になり、どちらともなく欠伸を零した。
「寝るか」
「うん。もうちゃんと眠れそう」
「そりゃあよかった」
もう一度洗面所へ行って歯を磨き、江派の部屋へ向かう。寝ている仲間を起こさないように、二人はそっとそれぞれの布団へ潜り込んだ。
掛け布団を整えて、蘇芳は隣に転がった豊前に小声で声をかける。
「ねえ、豊前」
「どうした？ 寒いか？」
「ううん。……眠るまで、手を繋いでいてもいい？」
「……」
「あ、ごめん。やっぱりなんでもない」
おやすみと反対方向を向かうとするよりも早く、豊前手が蘇芳の手を掴んだ。
「いいよ。でも、あんまり他の連中には言うなよ？」
「江だけだよ」
「ん、まあ今はそれでいいか」
豊前が作ってくれたホットミルクと同じぐらい温かく感じる彼の手が不安を全部取り払ってくれたような気がした。
彼女が規則正しい寝息を立てるまでそう時間はかからなかった。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
稲さんの実装が思ったより早くてビビってます。
当初の予定を変更して彼も含めた江派との絡みを今後書けていければと思います！
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yuuuuui_0131(プロフ) - 更新ありがとうございます！！本当に大好きです！！無理せずに更新頑張ってください！応援してます！！！！ (6月8日 21時) (
レス) @page23 id: 8c737f26a1 (このIDを非表示/違反報告)
time rain(プロフ) - らむさん» らむさんありがとうございます！あまり更新頻度は高くありませんが、完走できるよう頑張ります！ (2022年1月5日 9時) (レス) id: f96f3e1548 (このIDを非表示/違反報告)
らむ(プロフ) - 凄く好きです…！！！！更新を楽しみにしています！ (2021年12月28日 16時) (レス) @page6 id: 39bdeb846c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：time rain | 作者ホームページ：http://id34.fm-p.jp/455/sigureneko/
作成日時：2021年12月19日 12時
