サ ミ シ ガ リ ヤ【中村海人】

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『…38.2度』



「あーあやっぱり風邪引いたね、


あんな雨の中帰ってくるから…」






昨日、あの雨はすぐ止み


私は一足先に帰った。




…だけどそれは一瞬だったらしい。



大粒の雨が滝のように降ってきて、


私はびしょ濡れになった。





いや、雨宿りの意味と思ったけど


風邪引いてよかったかもしれないとも思った。





今うみくんと会っても


どんな顔をすればいいか分からない。







「俺も母さんも仕事で明日まで


帰ってこないんだよな…誰か呼ぶ？」



『いい…1人で大丈夫だよ』




「いいのか？まあ、ゆっくり休めよ。


お粥なら作っといたから」





『ありがとうお兄ちゃん』




そう言って仕事へ行くお兄ちゃん。





1人になると静まり返る家。




風邪を引くと人肌恋しくなるっていうけど


案外、本当なのかもしれない。





…誰か来てくれないかななんて。








携帯を見ると色んな人からのLINE。




咲、しめ、海斗、宮近くん…


そして、うみくんからも。





うみくん今日お休み?風邪?大丈夫?




とりあえず、風邪引いた、ということだけは


皆に伝えておく。




そう伝えると、咲からもLINEがくる




咲明日の水族館大丈夫なの?





あんなに楽しみにしていた水族館も


もう、楽しみじゃない。




なんでこうなるんだろう





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