サ ミ シ ガ リ ヤ【中村海人】

４３ ページ43

＊





「そういえば結局水族館行ってないね〜」



『あ、確かに、行ってないね』







「Aちゃんいつ空いてる？」




『えっ…と、土曜日空いてるよ』




「じゃあその日行こ！けってーい！」







あ、これ普通に承諾したけど


デート、じゃない？








「お、お二人さんデートですか？」



「海斗うるさい、


Aちゃんにちょっかい出さないでー」






そういってほっぺをぷくっと膨らませる。



…ハムスターみたい。





『ふふ、かわいい』




「かわいいのはAちゃん！


じゃあ土曜日絶対に空けといてね！



俺、次移動だからいくね〜」







ばいちゃ〜と言い、ずっと手をブンブンと



振りながら歩いていく。






「中村健気だねえ…」



「本当可愛いくらい健気だよね〜」





「Aはまだ、気持ちがわからない？」





『うん…』





正直、付き合ったら絶対楽しいと思う、


それはわかってる。





でもそんな気持ちで付き合ったりするのは


やっぱり良くない気がするし、




告白されてから気になり始めた、だなんて



流されてるって言われたらそれまでだ。






自分の気持ちがちゃんとわかってから返事をしたい。







「中村なら、きっと待っててくれるよ


Aは焦らないでね？」





そう言ってくれる咲は本当に優しい。


でも、もう1ヶ月だ。




待たせすぎも、申し訳ないよ。



どうするのが正解かわからないよ。









＊

４４→←４２

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す