真夏の恋よ、２【三好一成】

そういえば、 ページ17

一｢へっぷちょい！……んぁ？｣






自分のくしゃみで起きた、いつもより寒い朝。




そして、いつもより固い床、見慣れない天井。




目と鼻の先にある、完成形のキャンバス。




スマホが示す、4:45の数字。







一｢……やばみ｣





大学内で夜を明かしてしまった。





絵を描きあげた後、横になってそのまま朝まで寝てたみたいだ。






うおっ、身体痛っ！あちこちバキバキ言ってる。







スマホに何件もの着信がある。カントクちゃんや夏組のみんな、フルーチェさんからも入ってる。






一｢あちゃ〜…悪いことしたなぁ｣






学校で寝てしまった旨のメッセージと、心配かけてごめんねのスタンプを送る。

朝早いのにメッセージ送っちゃった。それもごめん。








一｢さて……どうしようかな｣






寮に帰っても、すぐに出る時間になるだろうし。




そうだ、風呂。とりあえず近くの銭湯駆け込も。









一｢……いや、くそさむ…｣






明け方や夜は冷え込む季節になった。






再び学校に戻ってきた足は、日本画棟を通り過ぎて、水彩画棟の方に向かっている。








そういえばAちんのことに夢中で、水彩画棟は探索したことが無いなと思って！







男はいくつになっても探検が好きな生き物だから。しょうがない。









そしてあわよくば、偶然にもたまたま、Aちんの絵を見つけられたらなって思っただけで。






一｢…でもお腹すいたなぁ…｣






夜から何も食べていないお腹が、限界だと叫ぶ。





でもなぁ、探検したいしなぁ。


悩みつつ、水彩画棟を歩いていると、大きめのアトリエがある。





しかも、そのアトリエ、




一｢鍵空いてる………｣





こんな無防備でいいのか？？




鍵閉めないと、空腹より好奇心を優先する劇団員が入っちゃうかもしれないのに。






…ごめんなさい先生！なにも悪いことはしませんので！！







誰に届けるでもない謝罪を抱えながら、静かに扉を開けた。

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