【中影×濵千代】しだれ花火とイチゴ味 (ページ10)

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とっさに出た言葉だった。

濵千代は、えっ？と、訳がわからないというような顔をしている。

そんな彼女に俺は、

「西党に、入ってくれへんか」

と、ゆっくりと息を吐くように訊ねた。

どーん、どーん、と赤い色をした花火が空に咲く。

恋愛が駄目なら、いっそのこと＿＿忍者と、くのいちになればいいんじゃないか、と、そう思ったのだ。

濵千代は少し驚いた顔をして、それから少し時間をおき、口元を緩めた。

そうして細めた瞳が、だんだんと淡く潤う。

「いいの？」

「濵千代がええんなら、ずっと、そばにおってほしい」

思わず俺は濵千代の手を取っていたようだ。しかし彼女は拒否することなく、俺の言葉を確かめるようにそっと、しかししっかりと握り返す。

「私がくのいちになれるなら、それで中影とずっと一緒にいられるなら。もちろん引き受けるわ」

喜んで、と微笑むその目からつーっと涙がこぼれた。

俺はそれを見て、思わずその儚い身体を抱きしめてしまう。優しく、しかし、それを逃がしてしまわないように、強く抱きしめた。

「もう......ばかね、恋愛をするから西党に入るわけじゃないのよ？」

「そんなこと言いながら、濵千代だって手回してるやんか」

「そんなこと、知らない。ふふ」

俺からは濵千代の紅い色をした耳だけが見える。彼女をふと、かわいい、と思った。