制服革命５ / Shori.S

FATE. ページ20

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「引っ越そうか。」



「誰も知らない遠い街に。」









「へ、」



あまりに気の抜けた声が出た。

そんな僕を見て眉を下げる。








「3人で暮らさない？」


「母さんと、俺と、Aで。」





健人くんがスゥ、と息を吸って
ゆっくりと吐き出す。



昨日、警察に連絡しない方がいいと
言った健人くんが考え抜いた答えは、
逃げる、ということだった。







無意識に潤む瞳があまりに綺麗で。

間接的にも彼をあんな目に合わせたのは
僕なのだと思うと、
罪悪感が胸に募って苦しくなる。









「Aの人生は、」


「今からでもやり直せるよ」





前向きで、いつも勇気づけてくれて、
信頼できる彼の言葉。

思わず、助けてほしいなんて願ってしまう僕は
相変わらず弱虫でダメな人間だ。








ゆっくりと視線が交わって、僕は曖昧に頷いた。



僕は今、泣きそうな顔をしてるんだろう。
視界に薄い膜が張って、その鮮明さを失っていく。









僕だけ逃げるなんて、
そんなの許されることなのか。


まず、Aちゃんにこの身体を
返さなきゃいけないし。



ほら、玄樹だって今、戦っている。
僕が行方をくらませば、解放されるのかな？


結局僕は何も変えられずに終わるのか？




頭に聡や神宮寺の顔が次々に浮かぶ。









「あーお腹すいた！」


黙り込んだ僕に、健人くんの声。





「ごめんね、今話すべきことじゃなかった。」



僕を気遣う優しさに、首を振って
彼に笑顔を作って、部屋を後にした。






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