彼のミルクティー。

#milky ページ34

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「離してよっ」


「やだ」


本当に意味わかんない。




佐藤くんが、ふふっと笑って
グルンと世界が反転する。





.





「ねえ、」




「A、」





急に甘くなった声。

初めて呼ばれた名前。






近づく、顔。

あと1センチ。





あまりに整った顔を
直視できずに目をぎゅっと瞑る。









「キスしてほしい？」


耳元で囁かれたその声に
私は閉じていた目を見開く。





「うわ、」


目の前にある顔。





いつもよりも、とろん、と水分を含んだ瞳。

長くてクルンとした睫毛に、思わずドキリとした。








「ばっかじゃないの」


「早く離れて。」



いつもの彼の言葉をぶつけたのに、
さらに迫る距離。









___トスン


とすぐ隣に佐藤くんの頭が落ちる。







数秒後。


スースー


聞こえてきた規則正しい寝息。






寝てる？


覆いかぶさられた身体を
できるだけ出して、
彼を見つめる。







.


.









「… ゅ、」


「…ゆ、り…な、」


ぎゅっ、と私の手を握って
寝言を呟く。




彼の頬には、

綺麗な涙が流れていた。

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