壁の穴から (ybin) 1

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「俺、オンナノコじゃねー」


「わかってるよ」


「光にちゃんと言って」


「…今度な」


今、光に何を言っても無駄だし、第一オンナノコじゃなくてオトコノコですよって言う方が、もっと色々駄目だろう。



だいたい、この得体の知れない謎男は、何で俺の布団のとなりにちゃっかり客用布団並べて寝てるんだ。


そうだ。

俺も、「今度な」じゃねえ。

流されそうになってる場合じゃない。あぶねーあぶねー。


そうだよ。昨日のこいつの「宜しくね」ってなんだよ。

俺は全然宜しくないし、…こいつまさか家に居座る気か。








「あ、そーだ！朝御飯だって？」


「…おい、お前」


「ん？」


「！！！！！」



布団の中のこいつは、再びの全裸だった…。




「なっっっんでっ！！」


「あー、服さあ、やっぱなんかおっきくて、寝てるとずれて脱げてきちゃって気持ち悪いから、もー布団の中で全部脱いじゃった」


パンツは脱がなくていーだろーがよーっ！



それにしても、こいつ、中性的なのは顔だけじゃなくて。

真っ白い、柔らかそうな体。細い手足。ほんとに女の子みたい。


上半身を起こすと布団が滑り落ちて、肌がさらに露になった。

…首から背中への曲線が、やたらと綺麗だ。



……なんか、こいつ…。




「…何だよー、じろじろ見んなよー、えっちだなお前」

「っ見てねぇよっ」



奴がニヤニヤしながら、挑発するように体を擦り寄せてこようとしたから、枕と掛け布団を強めに顔面に投げ付けて、一人さっさと廊下に出た。


「いってーー！」とか叫んでるけど、無視だ無視。

思い切り音たてて、襖閉めてやる。






……天使みたいだなんて、そんなこと思ってねーーーよっ！









ガラガラガラガラッ！


「やぶーー？」


げっ！光！


「やぶちゃーん？もしかしてまだお取り込み中なら帰るよー」

涼介も？！？！




お取り込み中かも、と思いながら玄関開けてくるって、お前らバカかっ！

いや、何もお取り込んで無いけど！！





…パシーン。

ギシギシギシギシ。



…え…。



「あーー、光と涼介だー」



！！！



全裸のまま、奴が出てきた。



バカかっっっ！！

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