30 Yabu 4/11 ページ30
side yb
「薮くん、やっぱりすげーよ！」
興奮さめやらぬ、といった様子の雄也。
「俺、なんかもう泣きそーになったけど、席でお客さんに超バレちゃってたからゼッテー泣けねーとか思ってさ…」
にこにこ。
にこにこ。
金髪の上からパーカーを被りサングラスをかけたその風貌からは、想像もつかない人懐こい笑顔。
ひとしきり、一方的に感想を捲し立ててくれた後に、
「あ、ごめん、疲れてるよね」
と俺を気遣った。
「大丈夫だよ、ほんと、来てくれてありがと」
「明日は山田と光くん来るって言ってたよ」
「あー、何か言ってたな、明日だっけ」
「何だかんだ皆忙しいからねえ」
昔からは想像もつかない。
尖ってなかなか他人に打ち解けようとしなかった若い頃とは、別人みたいだ。
解りやすく自然に感情を伝えてくる、屈託のない素直な雄也。
でも、何も考えてないように見えて、実はかなり繊細に相手を気遣う奴だから、いつも相手の気持ちを推し量って凄く言葉を選んでいる。
そんな、雄也が。
「…伊野尾くん、まだ見にきてないんだって？」
そう、言った。
「ああ…」
まだ大ちゃんしかきてくれてねーもん。そんな風に軽く言葉を繋げられない自分が情けない。
雄也は、伊野尾の恋人。
…俺を捨てた伊野尾が選んだ男。
「伊野尾くんも早く見に行きなって、今日言っとくね！」
雄也の笑顔が、明るい声が、突き刺さる。
雄也は俺をちゃんと解って、そう、言っている。
諦められない俺を。
今夜、この後に会う二人を想像する俺を。
…その日、夢を見た。
舞い散る桜の花びらの中で、伊野尾の後ろ姿が見える。
俺は伊野尾に声をかけようとした。
なのに、声が出ない。
口をどんなに大きく開けても、音が出なくて、伊野尾はどんどん先に歩いていってしまう。
…ジュニアの頃、伊野尾が俺に言った。
「薮の後ろ姿見ながら、必死で見失わないように追っかけてるのに、全然追い付けなくて」
今は、逆だよ。
お前はどこまでも、俺の前を進む。
振り返りもせずに。
夢の中、必死でお前の名前を呼ぼうと喉を振り絞るのに声が出ないんだ。
なのに。
伊野尾が、
振り返った。
満開の桜の花を背にして、ふんわりと笑った。
そして。
伊野尾が、俺に向かって駆け出した。
舞い狂う花びら。
俺に向けられる眩しい笑顔。
伸ばされた、白い手。
…夢だとわかっているのに、
こんなにも、嬉しいなんて。
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Yoko(プロフ) - 夏夢さん» やぶぅ、取って付けたように、突然のカミングアウト！？言っちゃいました。なんつーか、この部屋にいる他の人の気まずさったらないよなー、とか思います…。「はあっ？なにどゆこと？」ってなってる大ちゃんsideとか書いてみたいですよ(需要、ないな…) (2019年5月30日 1時) (
レス) id: 1ec0dcf065 (このIDを非表示/違反報告)
Yoko(プロフ) - reiさん» 強火たかいの派reiさん、こまめなコメントいつもありがとうございます笑笑！やぶぅの応援が増えるなか、reiさんのコメントがあると、そうよねっやっぱりたかいのよねっ！となります！！お食事会ぃ！早くみたい！時間がなかなか取れないー！１日24時間じゃ足りないぃ！ (2019年5月30日 1時) (レス) id: 1ec0dcf065 (このIDを非表示/違反報告)
Yoko(プロフ) - ちかりんさん» 初めましてちかりんさま！コメントありがとうございます！こんなヘロヘロのお話にお付き合いくださって感謝です！！薮くん応援ありがとうございます！やぶぅ、頑張ってます！願わくはリアルでも伊野尾くんとの仲良しエピソードを出して欲しい！やぶいのーーー！！ (2019年5月30日 1時) (レス) id: 1ec0dcf065 (このIDを非表示/違反報告)
Yoko(プロフ) - みるみるみるきーさん» え、まさかのやまちゃっすか！！凄い衝撃展開にこれは白目むきますね！みるさんが言ったんだからね！ほんとにそういうことになっても付いてきてくださいよっ笑笑！ (2019年5月30日 1時) (レス) id: 1ec0dcf065 (このIDを非表示/違反報告)
夏夢(プロフ) - ぅっわ薮さん言った…！←読んだ時のリアル呟き。ツクにイン出来ず地団駄踏んでる間にこんな展開になってるなんて！しかも移行焦らしぷれいだなんて！お知らせ待ってるー！ (2019年5月30日 0時) (レス) id: 6404b316b5 (このIDを非表示/違反報告)
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