中原、アルコールやめよう ページ3
「っへへ〜、A〜〜」
ワイングラスを片手に、みっともなく顔を緩ませる中原。酒は大して強くない癖に、後輩の前で見栄を張る。結果、直ぐに酔い潰れる。毎回毎回酔った中原に絡まれるのは、鬱陶しいこと極まりない。
「……もう、しっかりして、中原」
アルコールが回り、熱を帯びた中原の頬をぺちぺちと叩いた。バーのカウンターに突っ伏して、今にも眠りこくって仕舞いそうなこいつをどうしようかと、考えを巡らせる。致し方無い、と携帯を取り出し、耳へ当てた。
「もしもし、太宰。今、時間あるかな」
太宰。その名前に、中原はぴくりと反応した。私の持つ携帯を強引に奪うと、そのまま耳に押し当てた。
「おい、らざい。ひっく、お前は、来なくて良いからな」
呂律が回っていない。目は半開きで、顔は真っ赤。因みに中原が手にしている携帯は何処にも繋がっていないのだが、どうやら気付いていない。
「よし、A、帰るぞ。メイド服の蛙が見える」
とうとう幻覚まで見え始めたようだ。意味不明な言動に笑いそうになるのを必死に抑え、カウンター席から立ち上がった。中原は何時もの帽子を手に取ると、覚束ない足取りでドアへ向かう。途中、足が縺れて転びそうになるのを何度か支えてやったが、こいつは無事に家に辿り着けるのだろうか。
「中原、大丈夫?私の家、此処から近いけど……」
一人で帰すよりは幾分かましだと考え、泊まっていくか、と提案しようとした。が、それよりも先に中原に腕を引かれる。暗い路地裏の壁に力一杯押し付けられた。
「こんな時間に酔った男を家に入れるって、手前、俺を舐めてんのか」
いつになく真剣な表情の中原。私の着ているワイシャツの釦を全て外すと、鎖骨に唇を押し付けられた。
「……太宰の名前も出しやがって、煽んのは大概にしろよ」
アルコールの抜けきっていない、熱を孕んだ中原は、酷く情熱的だった。言葉を紡ぐ度に、鎖骨にかかる息がくすぐったくて、小さく声が漏れる。
「っ……中原、好き」
____興味無い男を、家になんて上げない。中原は、大きく目を見開いた。
「悪い、抱きたい」
胸元から、中原の熱が伝わる。こくりと頷くと、中原は笑った。何時にも増して挑発的なその笑顔は、アルコールのせいなのか。
夜は、まだ明けない。
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うたしろ(プロフ) - ちよこさんこんにちは!もう終始キュンキュンしてます、更新がんばってください(*´ ` *)それからリクエストよろしいでしょうか?仕事で嫌な先輩に色々言われて落ち込んでる夢主を慰めるって言うのをよろしくお願い致します! (2019年3月10日 17時) (レス) id: 0c85f52549 (このIDを非表示/違反報告)
蘭霖 - リクエストです!太宰さんとからんでいて嫉妬させてしまう、中也が潜入調査で女の人と歩いていて嫉妬する。2つお願いします!更新ファイト! (2019年3月10日 7時) (レス) id: d4cdb2e31a (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - リクエストしてもいいですか彼と喧嘩して芥川君になぐさめてもったらお願いします (2019年3月9日 16時) (レス) id: 5016550d2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちよこ | 作成日時:2019年3月9日 15時