すきなひと【赤・緑】

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中村side






海斗が呼び出しから戻ってきた時、



Aがいつもの様に




「今回はどんな子？そしてどうなった？」




って聞いた。







いつも決まってこれを聞くのって、海斗の口から断ったって聞いて安心したいからなんだって、
そう、気づいたのは中3の時だった。




初めて海斗が呼び出されて、何となくで付き合ったって言う報告を受けたことが一度だけある。




それを聞いたAの寂しそうで悲しそうな顔は今でも忘れない。




俺にはなにも言ってくれなかったけど絶対海斗の事好きだろうなって、その表情で一目瞭然だった。






その後3ヶ月くらいで別れたみたいだけど、その間は俺とAで居る時間が多かった分、どこか悲しそうな顔をするAを何回も見てきた。




それから、海斗が呼び出される度に決まってこの言葉を言う。








今回も海斗からの「断った」を待ってたみたいだけど、




宮「付き合ってみることにした」








ほら、またその顔。




寂しそうで悲しそうで、泣きそうな顔。




Aのそんな顔もう見たくなくて、




中「おめでとう。でも彼女ばっかじゃなくて俺らにもかまえよ？」




俺なりに3人の関係を崩さない様な一言を伝えた。




宮「当たり前じゃん笑」








しばらく黙ってたAに目を向ける海斗




宮「あれ？なんで、その顔…」




「…良かったじゃん、…ま、高2の夏といえば彼女だもんね！…うん、良かった！さ、アイス買いに行くぞ！」






そう言って教室を先に出たAは









泣いていた。









目が、赤かった。





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