それ一緒にやらせて下さい4

-紫色のターン ページ23

.


深澤「何〜？ そんな嬉しそうな顔しちゃって〜。そんなに好きなの？」

不意に真正面ドアップで現れたふっかさんと最後の言葉に脳はプチパニックを起こす。

・・・"好き"って誰を！？

・・・あ、ぬいぐるみのことか！

・・・ぬいぐるみで喜ぶとか子どもだって思われたかな？

次第に気恥ずかしくなり、それを隠すために顔をしかめた。

『・・・好きですよ』

深澤「え？」

表情と言葉が合っていない私に戸惑うふっかさんを見て、直ぐに表情筋が緩んでしまう。

『でも、ただこのキャラが好きだからってことだけじゃなくて、"ふっかさんが私のために取ってくれたもの" なので、もっと嬉しいです』

深澤「あ、そう？」

『宝物が増えました』

深澤「宝物って大袈裟じゃない？」

『宝物です』

深澤「他にはどんな宝物があんの？」

『ご飯会の時に撮った写真とか、康二君から撮ってもらった写真です』

深澤「その中に入れてくれるんだ」

『はい』

そんな会話をしながら手の中にあるぬいぐるみで遊んでいたが、変わらずふっかさんからの視線を感じる。

『・・・何ですか？』

深澤「機嫌治った？」

・・・そういえば

このぬいぐるみは私のご機嫌取りのために採ってくれたものだったなということを思い出す。

『もともと機嫌は悪くなかったですけどね』

深澤「あ、そうなの？」

『ふっかさんって反応が良いから、何か揶揄いたくなっちゃうんですよね』

深澤「Aちゃんまでそんなこと言っちゃうの！？」

少し戯けるふっかさんが可笑しくて、ついつい笑ってしまう。

『SnowManの皆にだけじゃなくて、色んな人にイジられてますもんね』

深澤「そうなのよ」

『愛されてる証拠ですね』

深澤「Aちゃんも愛してくれてんの？」

『え？』

先程のようにパニックにはならないまでも、今回の目的語は確実にふっかさん自身のことだよなと考え、一瞬で顔が強張る。

深澤「俺のこと、"揶揄いたくなる" んでしょ？」

『・・・何かふっかさん意地悪ですね』

深澤「Aちゃん見てると俺も揶揄いたくなんのよ」

『え・・・？』

ふっかさんの言う "揶揄いたくなる" に、どんな意味があるのか、もしくはないのか。

真意が分からず、戸惑い、私は目を泳がせる。

深澤「かぁいいわ」

『やっぱり意地悪だ』

優位に立ったふっかさんの笑顔を見て、私は少し不貞腐れた。

深澤「周りからは優しいって評判のふかざぁさんなのに？」

『それは知ってますよ』



.

-ゲームセンター→←24th stories

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す