それ一緒にやらせて下さい3

-ミッションの理由 ページ49

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眉間にシワを寄せて項垂れていると、ふっかさんと河内さんからは憐れみの視線を向けられた。

田所「明日がこの企画の肝です。集中して下さい」

・・・誰のせいだと思ってるんだ

ますます信じられない気持ちで田所さんを見るが、見事にスルーされ、スタッフさんからの説明は続いた。


ーーーーーー

明日のネタバラシへ向けての打ち合わせが終わり、解散となったところで田所さんに声をかけられた。

田所「Aさん、お願いしていた録音のデータをいただけますか？」

ふっかさんの前で提出を求められるとは思わず、何なら明日がネタバラシということに頭がいっぱいで忘れていた。

しかし、田所さんへの返答は1つしかない。

『・・・データは、ありません』

深澤「え？」

田所「何故です？」

『私のミスで、録音できていませんでした』

田所「・・・そうですか」

数秒、何かを見定めるように見つめられたが、それ以上の追求をすることなく田所さんは部屋から出て行った。

取れ高がどうだとか、責任感がどうだとか、イヤミの1つや2つ言われるだろうと構えていたため、呆気なく感じてしまう。

しかし、データのあるなしに関わらず、明日ネタバラシをして企画が終了することには変わりない。

あれだけ頑張ったのだ、きっと満足のいく取れ高に達したのだろうと思い、自分を納得させる。

・・・あれ？ 延長って言われてから撮影ってしてたっけ？

納得させるつもりだったが、浮かんできた疑問から、この1週間を思い返しても思い当たらず、この1週間は必要だったのだろうかと更に疑問が増えてしまった。

田所さんとスタッフさんは部屋を出て行ってしまったため、残っている河内さんに確認をしようとした時、先に口を開いたのは河内さんだった。

河内「誤解しないでほしいんだけど、田所さんが録音するように言ったのは番組のためじゃないの」

仕事人間な田所さんしか見たことのない私は、河内さんの言葉が理解できなかった。

『どういうことですか？』

河内「仕事の延長とはいえ、自分の目の届かない、男の人しかいない所で、もしかしたらお酒なんかも呑むかもしれない食事会に行かせるのよ？ あれでもAちゃんのこと心配してるのよ」

『ラウ君がいたのでお酒は呑んでないですけど、え、私ってそんなに信用ないですか？』

そう言って、何気なくふっかさんを見ると、バツが悪そうに笑っていた。



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