それ一緒にやらせて下さい3

-何故ここにいるのでしょうか？ ページ36

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コクリと頷かれ、目の前の人物が渡辺さんであることを認識すると、私の頭はこの場をどう乗り切るかと考え始める。

渡辺「昨日倒れたばっかで、家で休んでるはずのAさんが何でこんなとこにいるわけ？」

『気分転換、的な？』

渡辺「どう見てもトレーニングしてるよな？」

『散歩です。散歩』

渡辺「そんなガッチガチの格好で？」

『これが私の普段着です』

渡辺「だとしたらダサ過ぎだろ。てゆうか、焼き鳥行った時はもっとマシな服着てたじゃねーか」

『・・・』

直ぐに八方塞がりとなり、降参の意を示すために両手を上げる。

渡辺「なんか言えよ」

『黙秘権を行使します』

渡辺「今のお前に黙秘権なんてあるわけねーだろ」

『人権侵害ですよ』

渡辺「舐めてんの？」

『・・・すみませんでした』

斜めからの突破は無理だと判断し素直に謝ると、
「よし。じゃあ帰れ」と帰宅を促された。

『お疲れ様でした』

深々とお辞儀をして、その場を離れ、帰ると見せかけて別の道から公園へと向かう。

『帰ったかな？』

辺りを見回しながら渡辺さんがいないことを確認し、公園の中の練習ができそうなスペースへと着くと、私はスマホをポケットから取り出した。

練習用の動画を探しながら、『渡辺さん、この辺に住んでるのかな？』と何気なく呟くと、「住んでねーけど」という言葉が返ってきた。

反射的に声の方へと振り向くと、帰ったと思っていた渡辺さんがいた。

渡辺「倒れた昨日の今日で無茶すんじゃねーかって康二が心配してて、康二に言われて来たんだけど、案の定だったわ」

・・・マジかー

天を仰ぎ、項垂れていると「昨日倒れたのも、無茶すんのも、俺のせい？」という、声の通る渡辺さんには珍しくか弱い声が耳に入る。

『え？』

渡辺「この間、言い過ぎたせいなら、」

『違います。渡辺さんのせいじゃないです。私の管理不足っていうか。それに、渡辺さんは間違ったことは言ってないです。今日は、それを気にして？』

渡辺「・・・昨日、Aさんが倒れて、りょ、舘さんと2人になった時に "もう少し優しくしたら？"って言われて。確かに、ちょっと当たり強かったかなと思って」

『宮舘さんに言われて？』

渡辺「いや、言われてってゆーか」

少し俯きがちになっていた渡辺さんだったが、私の表情を見ると直ぐに顔をしかめた。

渡辺「・・・なにニヤけてんの？」

『ちょっと、動画の後遺症が』

渡辺「意味が分からん」

・・・ゆり組ジャスティス！



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