きゅう ページ9
ピンポン、と少し音のずれたチャイムが部屋に響く。
この頃来客が多いなぁ、なんて思いながら私は玄関に向かう。
「はーい、」
「……あれ?」
ドアを開いたそこにいたのは、金髪の男の子。
「んん?ここ、アキの家じゃねぇの?」
「アキ……?あぁ、早川さんのことですか?」
「そう、ここって聞いたんだけどさ」
その男の子は早川、と書かれた表札を見ながら首を傾げた。
「隣の部屋ですよ、早川さんの部屋は」
「隣……」
随分若く見えるけど、もしかして早川さんが言っていた‟もう一人”は、この子のことだったんだろうか。
(……甥っ子、とか__弟さんかな)
勝手に恋人だと思ってしまったけれど……いや、男の人同士での恋人関係という可能性だってあるけど、でもこの子は多分未成年だ。
「……オネーサン誰?アキの彼女?」
「え、いやいや、ただの隣人ですよ」
「隣人?」
「そう、隣に住んでるってだけ」
フーン、と男の子の視線が下に動く。
「何でヤローと二人暮らしって思ってたけどよォ、オネーサンが隣に居るんならいいや」
「オイ」
隣の部屋のドアが開き、中から早川さんが覗く。
それから男の子の頭を軽く小突いて、言った。
「そこはお隣さんの部屋だ。お前の部屋はこっち、他の人に迷惑かけるな」
「あァ?迷惑かけてねーし!アイサツしてただけだし!」
早川さんは男の子を押し込むように自分の部屋の中に入れようとしている。
「なぁ!俺、デンジってンだけど!オネーサンは!?」
「鹿野です!鹿野A!」
「いいから、さっさと入れ!……すみません、鹿野さん」
いえ、と首を振る。
「仲が良いんですね?」
「……良くないです」
「アキ!これ食っていい!?」
部屋の中からデンジくんの声が聞こえて、今行く、と早川さんは部屋の中に返事する。
「すみません、ホントに」
「大丈夫ですよ!」
なんだか賑やかになりそうだなぁ、と思う。
___最近、気分が落ち込んでしまうことが多いけれど……その度に、早川さんに助けられている気がする。
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naka(プロフ) - やぁでぅんさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます😭更新止まってて申し訳ないです、なるべく早く再開できるように頑張ります!! (7月28日 10時) (レス) id: 8570de63d3 (このIDを非表示/違反報告)
やぁでぅん - めっちゃ面白くてあっという間に見終わってしまいました!これからも無理のない程度に更新頑張って下さい!! (7月27日 1時) (レス) id: 92500eea4b (このIDを非表示/違反報告)
naka(プロフ) - ♡さん» ありがとうございますありがとうございます!更新頑張ります!! (2023年3月17日 1時) (レス) id: cc5739a1e2 (このIDを非表示/違反報告)
♡ - この小説めっちゃ好きなんです(:_;)更新助かります…! (2023年3月15日 6時) (レス) @page27 id: 61a9d4c254 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:naka | 作成日時:2022年12月18日 23時