さんじゅうよん ページ34
最後はばいばい、なんて挨拶を交わして。
思ったよりも穏便に、無事に話が終わったことに安心していた。
自分がしたことへの罪悪感が全部なくなったわけではないけれど、
それでも本人と話が出来たことは十分救いになった。
これまでの3年間に決着をつけることができた、と思っていいだろうか。
そんなことを考えながら帰路につき、近所のスーパーで軽く買い物をしてから家へ戻る。
つい買い過ぎてパンパンのレジ袋を両手に持つ。
鍵を出そうと右ポケットを探るが、荷物のせいでてこずってしまった。
「……開けましょうか?」
突然の声にパッと顔を上げると、仕事帰りらしい早川さんの姿があった。
「あ、ありがとうございます!お願いします‥‥」
申し訳なく思いながらも何とか出した鍵を早川さんに渡す。
「休みでも出勤ですか?」
「まぁ、午前だけですけどね」
「大変ですね……」
公務員って安定してていいなーなんて馬鹿みたいなことしか考えてなかったけど、
早川さんを見ると自分の何百倍も大変そうである。
「鹿野さんは、その……ケジメ?つけられたんですか」
一瞬その言葉に驚いたが、多分デンジくんから聞いたんだろうなとすぐに納得した。
「あはは……はい、何とか。相手の優しさに助けられただけなんですけどね」
「よかったですね」
そう言って早川さんは少し笑いながら、「どうぞ」とドアを開けてくれた。
「ありがとうございます!なんか早川さんには助けてもらってばっかりですね」
「いえ、そんな」
「ほんとに早川さんって同年代なのにしっかりしてるし、早川さんみたいにしっかりしないとなーっていつも思います。助かってます、ありがとうございます」
もう一度頭を下げてから、部屋の中へ入った。
「……こちらこそ、です」
そうポツリと早川さんが呟いたのも知らずに。
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naka(プロフ) - やぁでぅんさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます😭更新止まってて申し訳ないです、なるべく早く再開できるように頑張ります!! (7月28日 10時) (レス) id: 8570de63d3 (このIDを非表示/違反報告)
やぁでぅん - めっちゃ面白くてあっという間に見終わってしまいました!これからも無理のない程度に更新頑張って下さい!! (7月27日 1時) (レス) id: 92500eea4b (このIDを非表示/違反報告)
naka(プロフ) - ♡さん» ありがとうございますありがとうございます!更新頑張ります!! (2023年3月17日 1時) (レス) id: cc5739a1e2 (このIDを非表示/違反報告)
♡ - この小説めっちゃ好きなんです(:_;)更新助かります…! (2023年3月15日 6時) (レス) @page27 id: 61a9d4c254 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:naka | 作成日時:2022年12月18日 23時