にじゅうに ページ22
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「おはよ〜Aちゃん……すごい顔だけど、大丈夫?」
「えっ」
そんなに酷い顔だったかなぁとAはガラスの反射で自分の顔を見た。
___確かに疲れてるように見える、かも。
「ちょっと色々あって……」
「色々って……日曜会ったでしょ?その後に何かあったってこと?」
「そうなんですよ!」
本当に色々あった、色々。
月曜の駅は同じように、皆これから始まる一週間に絶望した顔をしている。
その流れについて行くように電車に乗り込んだ。
「まず、壁が壊れて……」
「壁?」
「お隣さんの部屋が丸見えになりました」
それを聞いた藤田さんは違う言語を聞いた時のような顔で硬直した。
「壊れたって、えっと……つまり、貫通したってこと?」
「そうです」
「何があったらそうなるの‥?」
早川さんの情報を漏らすのはよくない気がしたから、「色々あって」と返した。
きっとデビルハンターだと明かしてくれたのも、部屋にパワーちゃん‥魔人がいることを弁明するためだったのだろう。
「それで、お隣さんと話してたら睡眠時間が短くなっちゃって」
「あー、月曜からそれはよくない」
正直に言うと今にも寝そうなのである。
「それと____」
それと?と藤田さんが「色々」に続きがあることに驚いた表情で言った。
「その、明細が届いて」
「明細?」
どう説明しようかと考える。一つ一つ話していたらとても長くなってしまう気がした。
「元彼の、家賃支払と電気代の明細書、です」
「はぁ!?」
電車の中で大声を出してしまって、藤田さんは慌ててすみません、と小声で周りの人に謝った。
「いやいや、なんで元彼の明細がAちゃんに届くの!?」
「付き合ってた時は、私が全部生活費払ってたんです……」
ありえない事だとは分かっていたけれど、それでも好きという感情に浸かって私は周りが見えていなかったのだ。
「だから、ちゃんとそういうの‥話し合わないといけないなぁって」
それがすごく憂鬱なのだ。月曜日の朝よりも。
「‥会うの?」
「……はい、会います」
いつぶりの連絡だろう、とAはその男の顔を思い出していた。
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naka(プロフ) - やぁでぅんさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます😭更新止まってて申し訳ないです、なるべく早く再開できるように頑張ります!! (7月28日 10時) (レス) id: 8570de63d3 (このIDを非表示/違反報告)
やぁでぅん - めっちゃ面白くてあっという間に見終わってしまいました!これからも無理のない程度に更新頑張って下さい!! (7月27日 1時) (レス) id: 92500eea4b (このIDを非表示/違反報告)
naka(プロフ) - ♡さん» ありがとうございますありがとうございます!更新頑張ります!! (2023年3月17日 1時) (レス) id: cc5739a1e2 (このIDを非表示/違反報告)
♡ - この小説めっちゃ好きなんです(:_;)更新助かります…! (2023年3月15日 6時) (レス) @page27 id: 61a9d4c254 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:naka | 作成日時:2022年12月18日 23時