小説家vs.天才漫画家【JOJO】 (ページ1)

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小説家ページ1

「はぁ！？私の小説が漫画化！？無理無理、絶対やだ」

時刻はたぶん昼過ぎ。天気は曇り。
今日は原稿の締め切り日、私の担当である編集部の佐々木君が困ったように眉を下げた。

そして勢いよく胸の前で手を合わせて、

「そこをどうにか！もう話がだいぶ進んじゃってるんですよ、牧野先生」

と懇願する。

「私が漫画好きじゃないの知ってるでしょ？諦めなさい佐々木君」

「諦めません！せっかく取ってきた案件なんですよぉ！」

まだ新人の彼にとって、こういった企画をやること自体に気合が入っているんだろうけれど、それだけは飲み込めないのだ。長年貫いてきた私のポリシーなんだから。

「あの岸辺露伴先生が描いてくれるって仰ってるんですって！！」

「……キシベロハン？」

その響きをどこかで聞いたことがあるような。
どこだったか……雑誌で見かけたのか、あるいは街中で耳にしたのか……。

「えぇっ、先生もしかして知らないんですか！？」

「なに、知らないとまずいの？」

「国民的人気漫画、『ピンクダークの少年』を描いてる岸辺露伴ですよ！！」

興奮気味な佐々木君に複雑な気持ちになる。
そのピンクダークの少年とやらを語る彼は明らかに私の小説を読むときより楽しそうだったからだ。

「とにかく、無理だから。文字でしか出せない良さってもんがあるの」

「そんなぁ……」

佐々木君には申し訳ないが、私は昔から漫画が嫌いなのだ。アンチズムってやつだ。
ましてや自分が時間をかけて生み出した作品が漫画になるなんて耐えられない。

完成した原稿を不満気な佐々木君に渡して、新刊のプロット作業に取り掛かった。