【HQ!!】 聖夜の下で告白を――

金田一 勇太郎 ページ42

特別な貴方ーーー

｢え、お前ら付き合ってんの｣

｢｢は、はい…｣｣


部活終わり、勇太郎に家に来てとのお誘いをしていた。
もちろんあっち系じゃないよ、お母さんがとうもろこしあるからって言うからだよ。
その会話を聞いていた３年生ズの疑問に逆に驚いた。


｢知らなかったんですか？｣

｢え、言った？｣

｢言ってませんよ｣

｢そりゃ知らねぇわ｣


幼稚的な会話に聞こえるが高校生の会話である。
そりゃ言わなきゃ知らないよね。
そのへんを曖昧にしていた私達も悪いかな、と目を合わせ頷く。


｢え、っと、じゃあ、改めまして、俺達つ、付き合ってます！｣

｢うん、知ってる｣

｢言え、みたいな空気だったじゃないですか！｣

｢いやね、後輩達が青春しようが俺達には春が来ないんだよね…？！｣

｢｢すみません…｣｣


まぁまぁ、茶番は終わりにして帰り支度を済ませる。


｢勇太郎、行こう。お疲れ様でしたー｣

｢おう。お疲れ様っした！｣

｢おう、リア充爆ぜろ｣

｢グッバイ、リア充｣

｢後輩いじめですか｣


ツッコミにごめんごめんと謝る及川さん。
悪気ありまくりだな、と思いながらも部室のドアを閉めた。


｢勇、行こっ！｣

｢Aのテンションの差がすごい｣

｢ふふー、早く行こうよー｣


カバンを掛けていない方の勇の腕に自分の腕を通し、ギュッと近づく。
嫌がる素振りもなく優しく笑う勇が大好きだ。


｢勇、大好き｣

｢俺も大好き｣


スルリと腕を離し、体が向き合うように肩を掴まれるとそっとキスを落とされた。
静かな夜道にシルエットだけが浮かぶ。
離れる体が名残惜しくて、勇の袖をきゅっと引く。


｢もう少し…｣

｢Aの家で、な？｣


普段とはかけ離れた大人っぽい勇の顔にまた、私は惹かれていく。

特別な顔ーーー

川西 太一→←赤葦 京治

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