神様なんていない ページ10
・
フワフワする、気がする
どこかで私を呼ぶ声がして、返事するけど相手には聞こえてないみたい。
死ぬ間際には走馬灯のように記憶が蘇るってよく言うけれどそんなことなかったな、と
不思議な感覚。浮いているのか、沈んでいるのか
あたりは真っ白で、右手だけが暖かい。右手首にあるホクロをなぞられたような気がして、何故か懐かしい気持ちになった。
『UDIのみんなに、迷惑かけちゃうなあ』
ところで自分はどうなったのか
声が届かないところからすると助からなかったのか
意識が存在しているから助かったのか
やっぱり不思議な感覚
『やっぱり神様なんていない』
会いたかったよ、最後に
助けてほしかった、あの人に
信じても、願っても、どうせ叶わない
神様なんていない
・
Aの目から一筋の涙が溢れた
・
UDIラボの所長、神倉は外出のついでによく土産をもって病室を訪ねる。
神「これはね、ゴミ屋敷のやしきさんから貰ったお団子でね、」
あれから何日経ったか。
一向に目を覚ます気配はなく、病棟も回復病棟へ移った。
神「ひどいんですよ、東海林さんったら、」
UDIで起こったことをよく話す。愚痴になる時もあるが、Aの顔はどこか柔らかく優しい。
神「中堂さんなんて、最近やりたい放題ですよ。Aさんがいないと、もう、大変です。」
また来ますね、と神倉が立ち上がろうとした時
Aの顔がピクリと動いた。
神「Aさん!?」
慌ててナースコールを押し、看護師が駆けつけた時には
『しょ、ちょう?』
Aは8日ぶりに目を開いていた。
・
828人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちゃむ - 読ませて頂きました!とても面白くて続きが気になります…!(*><*)更新楽しみにしてます、頑張って下さい!! (2020年9月23日 16時) (レス) id: 1078a520a5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ナホ | 作成日時:2020年9月21日 16時