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バレてた ページ23








志「それで、伊吹藍のこと忘れたって嘘はいつまで続けますか?」



『…っ、』






病室に入ってひと言

息を呑んだ。






志「聞こえてませんでしたか?

伊吹のこと、覚えてますよねって申し上げたんです。」



『…知りません、覚えてません。』



志「もう、分かってるんですよ、黒瀬さん 」






志摩さんの瞳はまっすぐで、


志摩さんに事情聴取される人はこんな気分になるんだな、と

どこかで冷静な自分がいる反面

どうにか誤魔化せないか、と冷汗をかく自分もいて



この短期間、彼から志摩さんの話はたくさん聞いてきた。

いかに意地悪で、勘が鋭くて、仕事ができて、モテなくて、



そして、信頼しているか。





『いつからですか?』



志「はじめから、かな。

伊吹が病室であなたに駆け寄ったとき、記憶喪失にしては反応がおかしいと思ったんですよね」



『え?』



志「黒瀬さん、すぐに

"はじめまして"

って挨拶したでしょ」






だめだ、勝てない。

誤魔化せない。






志「ほんとうに記憶喪失になった人って、

もっと焦ったり取り乱したりして、

もしかして自分が忘れてちゃってるのかもとかソワソワしたりするもんでしょ」






まあ、俺の経験上の話ですけどね

ハハッと、笑ってるか分からないような。






志「まあ、確信はなかったんですけど。」



『…まんまと、してやられたわけだ』



志「聞こえが悪いな、まったく」



『いい性格してますね、まったく』



志「よく言われますう」






気心知れた友人のような、どこか落ち着く会話に

緊張が切れたのか、ふと息がもれる




そうだ。彼の勘は、いつも当たるんだ。






志「あんた、そっちの方がいいよ」



『…なにがですか』



志「猫かぶってなくて」






この人は信用できる人間だと。






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ちゃむ - 読ませて頂きました!とても面白くて続きが気になります…!(*><*)更新楽しみにしてます、頑張って下さい!! (2020年9月23日 16時) (レス) id: 1078a520a5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ナホ | 作成日時:2020年9月21日 16時

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