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初めてのキス。
テヒョンの唇、柔らかい。
ただ重ねるだけの行為なのに、こんなにどきどきするなんて。
「A。返事、聞かせて」
唇を離したテヒョンが、またすぐ触れ合いそうな距離で呟く。
恥ずかしくて顔を逸らすけどテヒョンの手のひらが頬に添えられて逃げられない。
返事なんて察して欲しかった。
分かってるでしょって、言いたかったけど。
「す、好き……テヒョンが好き」
この気持ちは、言葉にして伝えないと。そう思った。
「ふふ、顔真っ赤だね」
笑みを浮かべたテヒョンが自分の唇を舐める。
舌が見えて、笑っているだけの彼がひどく色っぽい。
頬にあった手のひらが耳に移動して、ゆっくり撫でられると身体が震えた。
ぎゅっと目を瞑ったとき、また唇が重なって。
ちゅ、と音を立てて何度か唇に触れた後、息をしようと口を開いた隙に彼の舌が入ってきた。
「…っ、…んっ…」
同時に耳にも触れられていて、身体がびくっと反応してしまう。
「…可愛い。気持ちいい?」
「……っ…」
そんなこと聞かないで。意地悪なテヒョンに心の中で言葉を返せば、首筋に顔を埋めた彼が啄むようにキスを落とす。
強く吸われて、ぴり、とほんの少しの痛みのあとに舌で優しく撫でられるから、すぐに甘い痺れが身体に走った。
「A、気持ちいいって顔してる」
「や…してない……んっ」
涙が浮かんできた目でテヒョンを見つめそう言うと再び唇を割って舌が入ってくる。
もう、頭がふわふわしておかしくなりそう。
いつまでそうしていたか分からないけど、身体が熱くて、気持ちよくて。
なんだかすごく幸せな気持ちだったことだけ、覚えている。
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作者名:naguno | 作成日時:2020年10月14日 20時