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あれから3ヶ月が経った。
毎週金曜日の夜になればテヒョンが私を迎えに来てくれて、学校が休みの週末は2人で過ごす生活が続いている。
それ以外の平日、月曜日から木曜日までは今までと変わらずハンバーガーショップで時間を潰している。
平日の夜間にバイトのシフトを入れているテヒョンとはお店で顔を合わせるので、なんだかんだで毎日彼の顔を見る、そんな日常。
「お客様、今日のおすすめはこちらになります」
「店員さん、頼んでないんですけど」
いつも決まってサイドメニューのサラダと飲み物だけ注文する私に、彼はたまに勝手にハンバーガーを追加するようになった。
もちろんレシートにはサラダと飲み物だけなので、テヒョンの奢りということになる。
「お腹空くでしょ?それほんとに美味しいから!食べてみて」
にかっと人懐っこい笑顔でトレーを渡されるのでありがとうと言って受け取る。
テヒョンのおすすめは確かに毎回美味しい。
お金を使わせてしまって申し訳ないなと思いながら、同時にどうしてこんなに良くしてくれるのだろうと疑問も感じる。
週末家に居させてもらえてるだけで充分有難いのに。
それに、私は何もしてあげられてないし、何も返せていない。
友達でもない、恋人でもない関係の私たち。
私にメリットはあっても、彼は一体何がメリットになっているのだろう。
疑問に思うけど、ド直球に聞くのは少し躊躇われる。
23時になったので帰ろうとして、その前にチラッとレジの方に目をやった。
接客中だったテヒョンが私に気づいて手を振るから、お客さんがびっくりしている。
ちょっと抜けてるところがあるんだよなぁと笑ってしまったけど、小さく手を振り返してお店を出た。
外は雨が降っている。
強くなる前に帰ろうと、傘を差して夜道を急いだ。
***
家に着くまでに雨はだんだん強くなり、風が吹いていたため少し濡れてしまった。
静まり返った家の中に入る。
父はすでに寝ているはずなので、電気はついていない。
冷える前に早くシャワーを浴びてしまおうと、お風呂場へまっすぐ向かい身体を温めた。
お風呂場から出た私は下着を身に付け、部屋着を手にする。その時、突然開いたドアに思わず短く悲鳴をあげた。
そこに立っていたのは父だった。
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作者名:naguno | 作成日時:2020年10月14日 20時