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テヒョンがお風呂に入っている間に、寝る準備を済ませる。
ベッドに腰掛けたがちょっと気を抜くとすぐに寝てしまいそうで、部屋の隅に座ってテレビをつけた。
今日はなんだか不思議な1日だったな。
朝はのんびり10時に起きて、テヒョンと2人で朝食を食べて。
誰かと一緒に買い物に行ったり、ご飯を食べたりするのは随分久しぶりだった。
もしこんな生活がずっと続くのなら、父への恐怖心もいつかは忘れられるのだろうか。
以前のように、笑顔で過ごせるのだろうか＿＿＿
「A」
テヒョンの声に、はっとする。
目の前には、私の顔を覗き込む大きな瞳。
肩にバスタオルをかけている彼は、お風呂上がりのようだ。
「ここで寝ちゃだめだよ。ベッド行こ」
どうやらテレビをつけた後にうたた寝してしまったらしく、テヒョンに支えられてベッドまで連れて行かれた。
横になった私に布団をかけてくれるテヒョン。
濡れた金髪からぽたぽたと水が垂れる。
手を伸ばした私は彼の肩にかかるバスタオルで髪の毛を拭いた。
「え、あ、ありがと……ごめん、水落ちてた？」
「うん。でも、少しだけ。テヒョンは今日も床で寝るの？」
私の行動に少し驚いた様子のテヒョンに問いかければ、「うん、そのつもりだけど」と返ってくる。
「だめだよ。風邪ひいちゃう。テヒョン、丸くなって寝てたもん。私床で寝るからテヒョンはベッドで寝てね」
話してる途中から、くす、と小さく笑う声が聞こえてきて彼の手のひらが私の頭をゆっくり撫でた。
「A、俺のこと気にしてくれてるの？嬉しい」
優しく細められた目が私を見つめる。
髪の毛を梳くように撫でられるのが気持ちいいけど少し
「ふふ、猫みたいだね」
瞼を閉じればすぐに心地良い眠りに落ちる。
可愛い、と呟いたテヒョンの声は現実のものか夢の中なのか分からなかった。
＊＊＊
「……テヒョン、動けないんだけど」
翌朝、全身をがっつりホールドされている状態で目覚めた私。
なぜこうなったのかと思ったが、テヒョンにベッドで寝てと言ったのは私だ。
私は床でいいと言ったけど、よく考えれば最初から私を優先してベッドに寝かせていた彼が私を床に下ろすはずが無いなと今更ながら思った。
「うん……動いちゃだめ」
私を更にぎゅうっと抱き寄せた彼の唇が首に触れていて、思わず突き飛ばしたのは言うまでもない。
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作者名：naguno | 作成日時：2020年10月14日 20時
