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「お邪魔します」
モノトーンでまとまった彼の部屋は、生活感があるけど散らかってはおらず綺麗に片付けられていた。
同じ間取りの部屋でも家具の色や配置だけでこんなに雰囲気が変わるんだなと思う。
リビングには大きめのソファーと、その前にローテーブルが置かれ、キッチンにはあまり物がない。
料理はそこまでしない人なのかもしれない。
「そこのテーブル使ってね。…飲み物コーラしかないや。飲める？」
「ありがとうございます。コーラ飲めます」
テーブルの前に座りパソコンを出していると、コーラの入ったコップを持ってきてくれた。
テヒョンさんはソファーに座ると、身体を前のめりにする。
「後ろから見ててもいい？」
「はい。あんまり面白くはないと思うけど…」
パソコンが立ち上がり作業を始めた私は、意外とすぐに集中できていた。
テヒョンさんが居ることで多少の緊張感があり、眠気も覚めてきている。
部屋で仕事をしないかと提案されたときは驚いたけど、これは思ったよりいいのかもしれない。
時々後ろから手が伸びてきてデザイン画がテーブルから消えるが、「おお…すごい…」という小さな独り言の後、そっとテーブルの上に戻されていた。
＊＊＊
はじめは良いペースだったものの、次第に眠くなってきてしまっていた私はキーボードを打つ手が遅くなっていた。
ふと頭に大きな手のひらが乗って、閉じかけていた目が開く。
「眠たそうな顔してる。少し休憩する？」
こっちおいで、とソファーに座るテヒョンさんは自分の隣を指さした。
時計を見れば23時過ぎで、気づけば2時間も経っていたのかと驚く。
我ながらかなりの集中力だ。
仕事も進んでいるので少しだけ休憩をとることにし、テヒョンさんの隣に腰かけた。
「Aさん明日仕事は？」
「明日は休みです」
俺も休み、と言うテヒョンさん。
左目だけ二重になっていて、少し目力が強い。
眉は結構凛々しいんだなぁ。
だけど顔全体の印象は男臭い訳ではなくて、美しくて＿＿
「……綺麗、」
ぼーっと彼を見つめていた私は思わずそう口にしていて、テヒョンさんと同時に「え？」と顔を見合わせる。
「……Aさん目開けながら寝てた？寝ぼけてる？」
おかしそうに笑いながら私の頭を撫でるテヒョンさん。
寝てないですよ、と言いながらも、髪の毛に触れるテヒョンさんの手が心地よくてあっという間に眠りに落ちてしまった。
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作者名：naguno | 作成日時：2020年10月4日 12時
