【第七話】※注意 ページ8
「っ、Aっ……!」
どうしてそうなったのかよく覚えてない。
私と脇くんは暗闇に隠れて身体を重ねていた。
『……っあ……!』
体が動く度にこぼれる涙を拭う余裕なんてなかった。
私も脇くんも精一杯だった。
「Aっ…」
脇くんは何度も私の名前を呼んだ。
『……りゅーっ…………』
私は、最低だ。
揺らぐ視界の中に、寂しそうに笑う脇くんが見えた。
「…っ、……」
私の頭を抱えた脇くんの表情は見えなかったけど、
思えば泣いていたのかもしれない。
“人生色々”なんて言葉じゃ片付けられないくらい、私の心はいっぱいいっぱいで、
きっと脇くんもそうだ。
何本も空けたお酒のせいにして、何度も哀を消し去ろうとした、
これが全部の始まりで。
忘れられない、熱い冬の話。
「おはよ」
次の日の朝、目を覚ますと変わらず脇くんがそこにいた。
昨日の悪い夢のような出来事を、よれたシーツや痛む体が物語っている。
乾ききった白い部屋が、昨日の行為に愛は無かったことを伝える。
『ごめんね…………』
脇くんを見ながら言う。
「ん。」
コク、と頭を縦に揺らして煙草に火をつける彼を置いて、また夢に戻った。
布団にくるまって、りゅーと同じ煙草の匂いを鼻で感じていると、
「また会う?」
脇くんがそれをどういうつもりで言ったのか分からないけれど、
『……うん』
私はその優しさに溺れたかった。
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とうふ(プロフ) - すごく先がきになる…続編希望したいです!!!! (2019年9月24日 0時) (レス) id: 301cc3faf2 (このIDを非表示/違反報告)
りら - 続編が見たいです!中途半端で物凄くモヤモヤします… (2019年9月23日 15時) (レス) id: 74bc1018f3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - まるくん目線でこの話の続編みたいです (2019年9月23日 14時) (レス) id: a0afcf68b6 (このIDを非表示/違反報告)
えいでぃ(プロフ) - 後編見たいです! (2019年9月23日 11時) (レス) id: 926a140c82 (このIDを非表示/違反報告)
ほまれん(プロフ) - 続編…見てみたいです(´TωT`) (2019年9月23日 10時) (レス) id: b47692df7b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ムコセイジン | 作成日時:2019年8月12日 18時