そこに愛はない。 (ページ18)

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【第十七話】ページ18

落ち着いて、意識がはっきり戻ってきた頃には、もう昼だった。

せっかくの休みが、ぼーっとしてるだけで潰れてしまった。

ほとんどお昼ご飯の朝ご飯を食べながら、

『……今日仕事、ないの？』

「あったけど、もーいーや笑」

いたずらっぽく笑って私の作ったオムライスを頬張る脇くん。

『……昨日、』

『フラレた、りゅーに、笑』

わざとらしく笑顔を作って私が言うと、

「また……それ、やめろよ。無理してんじゃねーよ」

予想外の言葉に驚く。

『べ、別に無理なんか……「泣きたいんだったら」

「……泣けよ。」

…なんで脇くんがそんなに苦しそうなの。

なんでそんなに、優しいの。

喉を通らなくなったオムライスの味が薄れていく。

『………んーん、もう大丈夫、だよ。』

絞り出した声をかき消すようにお茶を飲みほす。

脇くんは黙って立ち上がって、お皿を下げに向かった。

久しぶりに見た脇くんの背中は、私の止まった記憶の中のものよりはるかに大きかった。

脇くんは大人になってたんだ。
私と違って。

『脇くんこそ、もう、いいよ。』

脇くんの顔を見ずに下を向いたまま言う。

『…私と一緒にいる理由、無くなったでしょ。』

そうだよ、私たちは元々、寂しさを埋め合う為だけの関係だったんだから。

りゅーはもういない。
もういないんだから。

『脇くんも早く幸せになって……「A」

「それ以上言ったら怒る」