そこに愛はない。

【第十話】　まるサイド ページ11

「ねぇ！！！！」

パンッと乾いた音が部屋に響いた。
ジンジンと痛む右頬を押さえて、目の前の彼女を見つめる。

「誰この女！？何これ！！！」

俺のメールの履歴と、プレゼント袋に包まれたマフラーを見せ付けながら怒鳴る。

今の彼女に言い訳は通用しない。

『……ごめん』

「……ごめんって何よ！私のこと好きなんじゃないの！？」

『好きだよ。誰よりも』

「じゃあ……！早く、もう会わないって、言ってよ！！嫌いって言ってよ！！！！」

『分かった、から落ち着けって』

そして彼女を抱きしめて、

『俺ホント、お前が一番好きやけん……ごめん、もう、しないけん……』

と呟いた。

とりあえずその場をしのいだ。

(どうしよ、浮気バレた)

脇にいそいでメールを打つ。

脇:は？なんしよんお前

まる:いや、スマホみられた。どしよホント

脇:………選ぶしか、無いんやないの。

選ぶ、か。

Aか彼女か……
Aは可愛い。優しいし、家事も出来る。だけど……

ただの遊びなんだ。
俺には関係無い。

そう思った。

そしてすぐに

“今日の夜ヒマ？”

とメールを送った。

もうこれで終わりにしよう。

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