目、覚めました。 ページ36
温かい笑顔で涙を拭いてくれるその姿は、まるで聖母マリアのような慈悲深さが滲み出ていた。
「う……うう、うぅぁぁん！ 霊幻さぁぁんっ！」
思わず霊幻さんにガバッ！と抱きつく。
「霊幻さぁぁんっ！！ うわぁぁんっ！」
「っとと……勢いよく抱きつくなよ、危ねぇだろ」
「ううぅ……！」
霊幻さんのお腹に顔を押し付けて泣きじゃくる。 涙は頰を伝う暇もなく、彼のジャージに吸収されていった。
軽くよろめきながら、霊幻さんは呆れた様子で私の頭を撫でる。
「A、これじゃハンカチの意味ねぇだろ……」
「ううぅぁぁん！ 霊幻さぁん！ なんでそんなに優しいのに独身なんですかぁーっ！ うぁぁんっ！」
「ほんっとうに一言余計なヤツだな！」
＊＊＊＊＊
それから私は、モブな恋を続けた。
……調味市を揺るがす、あの決定的な事件が起きるまでは。
＊＊＊＊＊
「ん……んぅ……？」
ぼんやりと目を開くと、おかっぱ頭が真っ先に見えた。
モブくん……かな？
ん……そうか、私、熱を出して眠ってたんだ……。
「あっ……おねえさん！」
どこか舌足らずで可愛らしい、小学五年生のモブくんの声。
長い長い夢を見たせいか、なんだか懐かしく感じる。
「だいじょうぶ？ おねえさん……」
やがてハッキリとしてきた視界に、心配そうなモブくんの顔が映っていた。
「う、うん……だいじょうぶ……ケホッ」
「あっ、み、水！ はい！ おねえさん！」
「はは……ありがとう……」
モブくんが渡してくれたコップを受け取り、水を少しずつ飲む。 乾いた喉が、じんわりと潤っていった。
「ふぅ……ありがとう、モブくん」
にこっと微笑んでコップを返すと、モブくんは安心したように頷いた。
「ところでモブくん。 今、何時くらい？」
辺りをキョロキョロと見回しながら問う。
窓のブラインドはしっかりと閉められているみたいだから、もう夜かな？
「えっとね、七時半くらい。 おねえさん、けっこう寝てたね」
「うわーっ。 三時間くらい爆睡してたか……！ でも、おかげで少し気分も良くなったよ」
まだ体のしんどさは残っているけど。
「そっか……よかったぁ」
「心配してくれてありがとうね。 でも、モブくん。 帰らなくて大丈夫なの？」
「だいじょうぶだよ。 今日は、ここに泊まることにしたから……おねえさんも一緒に」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 61人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
オトナノジジョウ(プロフ) - ただのアニメ好き☆さん» 私もきな粉餅が一番好きです！！餅×きな粉の組み合わせが最高すぎて…！ダメだ語ってしまう！とにかく２０１９年ありがとうございました！いつもコメントをくださり、本当、どれだけ励みになったことか……！続編でも頑張ります！ありがとうございました！ (2019年12月29日 20時) (
レス) id: aad4b6e5d2 (このIDを非表示/違反報告)
ただのアニメ好き☆(プロフ) - 今年も残すとこら本当にあとわずかになりましたね〜。分かります。餅食べたいですよね！ちなみに私はきな粉餅がすきです！←聞いてない。本当に毎回毎回素敵なお話の更新お疲れ様でした！本当に読むのがとっても楽しいです！続編おめでとうございます！では！さよなら！ (2019年12月29日 0時) (レス) id: 4ee9350697 (このIDを非表示/違反報告)
オトナノジジョウ(プロフ) - ただのアニメ好き☆さん» ね！見に行きたいですよ本当に！私が行ったら夢主ちゃん以上に暴れ回るに違いないですが…笑。そして花沢くんに怒られるのが目に見える。どんな競技を出そうか悩み中ですが、更新頑張ります！素敵なコメントありがとうございました！！ (2019年12月16日 19時) (レス) id: aad4b6e5d2 (このIDを非表示/違反報告)
ただのアニメ好き☆(プロフ) - 本当に毎回更新お疲れ様です！素敵なお話を読ませていただいてとっても嬉しいです！無理なさらずにまた更新頑張ってください！今回もお話とっても素敵でした！ (2019年12月16日 17時) (レス) id: 4ee9350697 (このIDを非表示/違反報告)
ただのアニメ好き☆(プロフ) - わぁ〜良いですねぇ〜！めっちゃ見に行きたいです運動会！((だが今は真冬である。そして寒い、辛い← 花沢君の運動会とか楽しみすぎてワクワクしますね！分かるよ夢主ちゃんその気持ち！← お話もっと楽しみになりました！競技楽しみです！続きます↑ (2019年12月16日 17時) (レス) id: 4ee9350697 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：オトナノジジョウ | 作成日時：2019年6月1日 13時
