弁当=地獄 ページ42
私は考える。
人は何かとランク付けしたくなる生き物だ。
好きな漫画のキャラクターの人気投票にドキドキし、アイドルの総選挙に心躍らす。
それは教室内でも起こること。
あの人のあんな言動、こんな仕草を見て、勝手に人格を判断する。 後にカーストを作り上げ、そこに格付け、皆の共通認識とするのだ。
それが顕著に表れるのは、昼食時だと考える。
人の食事の仕方、お喋りの話題、弁当の中身……他人の様々な情報をたっぷりと観察できる時間だ。
それ故、昼食時は他者のランクがくっきりと見えてくる。
派手な女子のグループの隅で、いかにも溶け込んだ風に調子を合わせている高橋さん。
教室の窓側で、にこやかに三人の友達と席を並べている城山さん。
いかにも爽やかな雰囲気漂う男子集団の、中心に座るテルくん。
ほら、軽く見ただけで誰がどんな立ち位置に着いているのか、実に分かりやすい。
さて。
ここからが本題だ。
ぼっちの弁当時間について。
そりゃあ、ぼっちだからぼっちで食べるしかないのだが、一人で食事をするという行為は、静かにしているのに何故か目立つものだ。
悪目立ちしてしまうものだ。
それを避けたい私は、"昼休みに弁当を食べない" という選択肢を取っている。
それだとお腹が空く? そりゃ当然だ。
よって私は、授業間の短い休み時間に、ちょくちょくご飯を食べている。
おにぎりとか、サンドイッチとか。 数分で手早く食べられるものを口にする事で、昼休みに昼食を食べずに済むようにしている。
……まぁ、いつご飯を食べようが、ぼっちだからスクールカースト最底辺である事に変わりないんだけどね!
それでも、昼休みに悪目立ちしないだけ気持ちは楽である。
「……さってと」
ガタッと席から立ち上がり、私は一歩踏み出した。
……図書館行こ。
*****
ぼっちにとって図書館というのは、トイレと同じくらい重要な学校内の休息所だ。
静かだから、一人で居ても変な目で見られないし。
あと、私の場合、純粋に本が好きだから心地いい。
「たまにはオカルト本もいいかな」
本棚から "テレパシーの極意" という題名の本を取り出し、貸し出しカウンターへと歩き出すと、
「ひゃっ!」
「うおっ」
本を見つめながら歩いたせいか、誰かとぶつかってしまった。
こ、これは前方不注意の私のせいだ……! 不良相手だったらカツアゲされちゃうかな。
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オトナノジジョウ(プロフ) - ただのアニメ好き☆さん» 毎回素敵と言ってもらえるなんて……! ありがとうございます! ほんっとうに嬉しいです! これからも頑張ります! (2019年6月29日 12時) (レス) id: aad4b6e5d2 (このIDを非表示/違反報告)
ただのアニメ好き☆(プロフ) - 更新されるお話が毎回毎回素敵で本当に読んでいて楽しいです!更新お疲れ様でした!無理をなさらずにまた更新頑張ってくださいね! (2019年6月29日 10時) (レス) id: 4ee9350697 (このIDを非表示/違反報告)
オトナノジジョウ(プロフ) - 木の葉さん» こちらこそ、ありがとうございますー! 嬉しいお言葉です! もっとぼっちに優しい世界になるといいですね〜。 (2019年4月15日 7時) (レス) id: aad4b6e5d2 (このIDを非表示/違反報告)
木の葉 - ぼ、ぼっちに優しい…!!!!!ありがとうございますぅぅぅぅ(´Д⊂ヽしかもすっごく面白いです!これからも更新頑張ってください(*^^*) (2019年4月15日 6時) (レス) id: 927779d34a (このIDを非表示/違反報告)
オトナノジジョウ(プロフ) - ただのアニメ好き☆さん» ありがとうございます! とっても励みになります! おっしゃる通り、無理し過ぎず頑張っていこうと思います! (2019年4月14日 12時) (レス) id: aad4b6e5d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:オトナノジジョウ | 作成日時:2019年4月10日 23時