数の暴力 ページ27
こんな思いをすると分かっていたのに、安藤さんから逃げる方が怖くて。
私は素直に、ここに来てしまった。
「輝気くんと仲良いだなんて、そんな思い上がりもいい所にしてよね。 全部あんたの痛い痛い自惚れなのよ！」
っ………！
「待って、安藤さん。 ちゃんと話そう？ 安藤さんが考えてる事は誤解なんだよ」
どうにか耳を傾けてもらおうと、子供に諭すような言い方になってしまったのが火に油。
安藤さんはカァァッ！と頭に血が上ったようで、敵意をむき出しに私を睨んだ。
「はぁ？ なによ？ 前々からクラスの隅で真面目っぽくしててさぁ。 目障りなのよね！」
「っ………」
安藤さんの言葉に、まるで心臓を針で刺されている気分になる。
話を聞いてくれない事が、こんなにも辛いなんて。
足がプルプルと震えて、顔が硬直した。
同じ女の子なのに、なんでこんなに怖いんだろう。
「もー。 ミカ、やめなよ」
そんな中、安藤さんの取り巻きらしき三人は、嘲笑うように私を見つめていた。
「そうそう、本田さん怖がってるじゃんー」
「カワイソウだよー」
口ではそう言いつつも、彼女たちは私を明らかに見下していた。
一言も反論出来ない自分が悔しくて、唇を噛む。
取り巻きに口を出されて、安藤さんはさらに調子良さそうに笑った。
「だって本田と輝気くんだよー？ 釣り合わないし、絶対裏があるって」
そう、彼女は笑ったのだ。
「ぼっちのくせに」
この言葉を付け加えて。
耳の奥で、安藤さんたちの笑い声が反芻する。
陰湿でありながら無邪気な、彼女たちの笑い声に胸の奥がざわつく。
ぐらぐらと吐き気が襲ってきた。
「っ………！」
と、その時。
ガタガタガタッ！
勢いよく、教室のドアがひとりでに震えた。
「え！？ な、なに！？」
安藤さんの勝気だった表情が揺らぐ。
「なによ、誰がやってんの？」
「み、ミカ……誰もいないよ？」
ドアにはガラスが取り付けてあり、ドアの前の光景が丸見えである。
しかし、そこには誰も立っていない。
「そういえば、この多目的教室って、なんで物置にされてるんだろうね……」
安藤さんの取り巻きの一人が、ぽつりと呟いた。
「薄暗いけど、普通教室棟に近いし、もう少し人の通りが多くてもいいのに……」
「ちょ、ちょっとヒトミ？ どうしたの？」
うつむきながらボソボソと喋る彼女に、安藤さんが不審がる。
「あ、あんた、いつもはそういうキャラじゃないじゃん……」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 52人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
オトナノジジョウ(プロフ) - ただのアニメ好き☆さん» 毎回素敵と言ってもらえるなんて……！ ありがとうございます！ ほんっとうに嬉しいです！ これからも頑張ります！ (2019年6月29日 12時) (
レス) id: aad4b6e5d2 (このIDを非表示/違反報告)
ただのアニメ好き☆(プロフ) - 更新されるお話が毎回毎回素敵で本当に読んでいて楽しいです！更新お疲れ様でした！無理をなさらずにまた更新頑張ってくださいね！ (2019年6月29日 10時) (レス) id: 4ee9350697 (このIDを非表示/違反報告)
オトナノジジョウ(プロフ) - 木の葉さん» こちらこそ、ありがとうございますー！ 嬉しいお言葉です！ もっとぼっちに優しい世界になるといいですね〜。 (2019年4月15日 7時) (レス) id: aad4b6e5d2 (このIDを非表示/違反報告)
木の葉 - ぼ、ぼっちに優しい…！！！！！ありがとうございますぅぅぅぅ(´Д⊂ヽしかもすっごく面白いです！これからも更新頑張ってください(*^^*) (2019年4月15日 6時) (レス) id: 927779d34a (このIDを非表示/違反報告)
オトナノジジョウ(プロフ) - ただのアニメ好き☆さん» ありがとうございます！ とっても励みになります！ おっしゃる通り、無理し過ぎず頑張っていこうと思います！ (2019年4月14日 12時) (レス) id: aad4b6e5d2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：オトナノジジョウ | 作成日時：2019年4月10日 23時
