体の距離は心の距離 ページ15
そのゲーム機は太鼓が二台設置されており、正面には大きなテレビ画面がある。
「太鼓ドンドンするやつだ！」
「そう、正解。 結構面白いよ、一緒にやってみない？」
「うん、やる！」
＊＊＊＊＊
結果として、私はギリギリでテルくんより上のスコアを叩き出した。
「すごいじゃん、A」
「ま、まさかテルくんに勝てるなんて……！」
「何言ってるんだよ。 僕のこと完璧超人とでも思っていたのかい？」
「え、その通りでしょ……」
顔を上げてテルくんを見る。
すると彼は自嘲するような笑みを浮かべて、ゆっくりと首を振った。
「……違うよ。 僕は超能力に頼り切っていた時でも完璧にはなれなかった。 Aが思ってるような凄い奴じゃないさ」
「…………」
その言葉に、中学生の頃のテルくんが頭によぎる。
テストは全て満点で、いつも女の子を連れ回して、なんでもこなす。
彼にとっても苦い記憶なのだろう。 私が口出しする必要はない。
でも……。
私は一瞬だけテルくんの横顔に目を向けて、黙ったまま太鼓をトンッと小突いた。
＊＊＊＊＊
「うう、ほぼ全敗……」
結果から言えば、太鼓ゲーム以外は全てテルくんの圧勝だった。
「そろそろ帰ろうか。 夜のゲームセンターは少し危険だし」
「うん」
時刻は六時半。
確かに帰らないといけない時間だ。
バス停にて二人でバスを待っていると、ふとテルくんが口を開いた。
「今日は楽しかったかい？ A」
「うん。 本当に楽しかった。 ありがとね、テルくん」
「どういたしまして」
しかし、胸に残る疑問は未だに拭えない。
「でもテルくん。 なんでゲームセンターに来たの？」
「…………」
言い淀むように、テルくんはぽりぽりと頰を掻く。
そして、はにかみながら答えた。
「A、今日辛そうだったから。 僕に出来る事は無いかと思ってさ」
「……そ、そっか」
英語の説教の事だろうか、体育の二人組の事だろうか、……それとも、全部だろうか。
どうやらテルくんは、私の事をちゃんと見てくれているらしい。
……憂鬱な月曜日、のはずだったんだけどなぁ。
「……あ、ありがとう」
照れ臭いながらもお礼を言うと、テルくんは「うん」と微笑む。
並ぶ二人の小指が、一瞬だけ触れ合った。
行動しても変わらないならジッとしちゃおう→←大根おろしはピリリと辛い
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オトナノジジョウ(プロフ) - ただのアニメ好き☆さん» 毎回素敵と言ってもらえるなんて……！ ありがとうございます！ ほんっとうに嬉しいです！ これからも頑張ります！ (2019年6月29日 12時) (
レス) id: aad4b6e5d2 (このIDを非表示/違反報告)
ただのアニメ好き☆(プロフ) - 更新されるお話が毎回毎回素敵で本当に読んでいて楽しいです！更新お疲れ様でした！無理をなさらずにまた更新頑張ってくださいね！ (2019年6月29日 10時) (レス) id: 4ee9350697 (このIDを非表示/違反報告)
オトナノジジョウ(プロフ) - 木の葉さん» こちらこそ、ありがとうございますー！ 嬉しいお言葉です！ もっとぼっちに優しい世界になるといいですね〜。 (2019年4月15日 7時) (レス) id: aad4b6e5d2 (このIDを非表示/違反報告)
木の葉 - ぼ、ぼっちに優しい…！！！！！ありがとうございますぅぅぅぅ(´Д⊂ヽしかもすっごく面白いです！これからも更新頑張ってください(*^^*) (2019年4月15日 6時) (レス) id: 927779d34a (このIDを非表示/違反報告)
オトナノジジョウ(プロフ) - ただのアニメ好き☆さん» ありがとうございます！ とっても励みになります！ おっしゃる通り、無理し過ぎず頑張っていこうと思います！ (2019年4月14日 12時) (レス) id: aad4b6e5d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：オトナノジジョウ | 作成日時：2019年4月10日 23時
