現在進行形ぼっちのあなたへ！【モブサイコ100】

仲良しの裏側 ページ13

「た、高橋さん」

「え？」

高橋さんはこちらに目を向ける。 その表情はどこか気まずそうに感じた。


「い、一緒にペア組まない？」

頑張って言ったその一言。
高橋さんは苦い笑みを浮かべて頭を掻いた。

「あー……ごめんねー？ わたし、香織と組むから」

「あ……じゃ、じゃあ、三人でやっちゃダメかな？」

「ダメだよー。 先生二人組ーって言ってたし」

「そ、そっかー。 そうだよね、ごめん……」

「あー、うん」


高橋さんは席を立つと、上田さんに駆け寄って「香織、一緒に組もー」と声をかける。

上田さんは少し困った様子で高橋さんを見た。


「いいけど、三人組になっちゃうよ？ 伊藤さんとも組むから」

「いいよいいよー。 三人でやっちゃお」


…………。

う〜……！


「もうやだ……」

弱音が口から漏れる。

学校で時を過ごす度、心がゴリゴリと削られていく気がします。

そういえばこの前の体育でも、高橋さんに軽く無視されたなぁ……。

入学したばっかりの時は、隣の席だから結構お喋りしてたのに……。 私がクラスでぼっち気味になった途端、全く話しかけてこなくなった。

……多分、ぼっちの仲間だと思われたくないんだろうなぁ。

本当の陽キャラは、ぼっち相手でも平然と話しかけてくるんだけども。


よく分かんないけど、彼女はキョロ充ってやつかな。

「はぁ……」

そんな事を考えてる場合じゃない。


私は立ち上がって、先生のもとへと近寄る。

「先生、余りました」

このセリフ、何回目だろうか？
二桁まで行ってる気がする。

「あぁ……あなたね」

少し呆れた表情で先生は私を見た。

ほんと、いつもいつもすみません。 余り物で。

偶数なのに一人余るなんて、学校の七不思議の一つと言っても過言じゃない。

「いい？ いつも受け身じゃダメなのよ？ 自分から話しかけないと」

……話しかけてこれですよ。

とりあえず、クラスの前で説教を始めるのやめてほしい。 皆の奇異の目線が背中に刺さってるのが分かる。

……うぅ、私が何をしたっていうんだ。 とりあえず悪い事はしてないでしょ。

「皆で仲良くしないと……せめて女子だけでもいいから」

先生がため息と共に吐き出した言葉。

何を言ってるんだろう。


「みんな仲良く」が到底無理な事くらい、女子の方がよく理解しているだろうに。

大根おろしはピリリと辛い→←月曜日以上に憂鬱なものはこの世に無い

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す