現在進行形ぼっちのあなたへ！４【モブサイコ100】 (ページ9)

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所詮夢は夢ページ9

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(A)

「……ん」

テルくんの小さな吐息と衣擦れの音で、私は目を開く。
彼はベッドから上半身を起こし、まだ眠そうに頭をかいていた。

今の時刻は午前7時。いつもより少し遅いお目覚めかな。

「おはよう、花沢くん」

声をかけると、テルくんはぼーっとした目を私に向けた。

「……うん、おはよ」

「今日は眠れた？」

「……そこそこ。夢を見ていたよ」

「へぇ、どんな夢？」

「…………」

テルくんは少し黙って私から目線を外す。

しばらくして再度私と目を合わせると、「君と一緒にステーキを食べる夢。君も美味しそうに食べていたよ」と微笑んだ。

「いいなぁ、それ。今の私は幽体だから、できないのが悔しいよ」

「……元の世界に戻ったら、できるだろう」

「え」

テルくんは私から目を逸らして呟いた。声のトーンが落ちているのが気になって、元気づけたくなる。

「……いやぁ、それはどうかな。私死んじゃってるし」

「分からないよ。歩道橋で意識を失ったのが最後の記憶なんだろう？もしかしたら、君の体は生きてるのかも知らない」

「意識だけが並行世界に飛ばされた、ってこと？」

「うん。だから実体が無い」

じゃあいつか元の世界に戻るのだろうか。 ……あんな辛い現実に戻りたくないはずなのに、心のどこかで嬉しいと感じている。

「でもどっちにしろ、それじゃ意味が無いよ」

「え？」

「私は今の花沢くんとステーキを食べたいから」

「……ふーん」

テルくんはぷいっとそっぽを向いた。あれ、照れないな。
願わくば、テルくんの照れた表情をもう一度見てみたいのに。

そんな雑談をしている間にも時間は過ぎているわけで。

テルくんは少し早送りなモーニングルーティンへと行動を移していた。

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本日の3限目は体育である。

私は運動場の端っこで寝ている野良猫の隣に座り、その姿を眺めていた。

うーん、猫かわいい。

『輝気くーん！』

そんな安息の時間を邪魔するように、黄色い声援が飛んでくる。

運動場の中心でサッカーをしている男子軍団のせいだ。

次の授業は国語という微妙な時間割ではあるものの、テルくんは全力で体を動かしていた。

そういえばテルくんって、日頃から趣味でランニングとか筋トレとか欠かさないよなー。

この世界のテルくんも、睡眠不足な体に鞭打って朝方にランニングをしていた。