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この世界が辛い理由 ページ7

次の日のお昼休み。

テルくんは男友達と共にお弁当を食べていた。 私はというと、そんな彼の周囲をうろついて暇を潰していた。


「そういえば、竹中君っていう男子知ってるか?」


その時、テルくんの口をついて出た言葉に私は心臓がギュッと鳴った。

私が竹中くんの様子を気にしていたから、テルくんはわざわざ話題に出してくれたんだろう。

慌てて彼らのそばへと身を寄せ、聞き耳を立てる。


「竹中? 誰だっけ」

「あ、俺、中学が同じだったよ。 確か今は4組にいるだろ」


「竹中……あれ、そいつって最近退学した奴じゃね?」



思わず目を見開いた。

「……え」

退学? 転校じゃなくて?

……なんで?


「マジ?」

「うん、マジマジ。 夏休み明けから不登校だったらしいぞ」

「あーだから全然印象が無かったのか」


不登校? 違うよ、竹中くんは辛くても頑張って学校に来ていた。 時々サボることもあったけど。

そんな彼を見て、私も頑張ろうって思えたんだから。


「うそだ…」


口をついて出た私の言葉に被せるように、テルくんの友達が笑う。


「なんかイジメられてたらしいし、そりゃ退学したくなるよなー」


いじめ? 竹中くんが?


「地味なくせにやたら顔が良いからさ、4組のボスに目付けられたらしい」

「あ、聞いたことある。 この前なんかトイレでびしょびしょになってたぞ」

「うわー、むごいな」

「花沢もイケメンだから気をつけろよ」


ずっと黙りこんでいたテルくんが急に話題を振られた。

衝撃で立ちすくんでいた私は、ハッとしてテルくんを見る。

からかうような目線と笑みに少しも愛想笑いを向けずに、テルくんは私をまっすぐに見つめていた。


心配するような目だった。



*****


「……この世界、おかしいよ」


放課後、テルくんと共に帰路を歩きながら私は呟く。

「花沢くんも、竹中くんも……私の生きていた世界より、ずっと辛そうにしている」


竹中くんの笑顔がフラッシュバックする。 いじめを受けていたのを隠しながら、竹中くんは無理して笑っていたのだろうか。

それでも頑張って学校に来ていた。 それなのに、この世界では退学だなんて……。


「……この世界の僕らが苦しそうな理由、分かるかもな」


隣を歩くテルくんがぽつりと言葉を溢した。


「え?」

「多分、君がいないからだよ」

「へ……っ私?」

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設定タグ:モブサイコ100 , 花沢輝気 , ぼっち   
作品ジャンル:アニメ
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オトナノジジョウ(プロフ) - 塩飴さん» ありがとうございます。更新がゆっくりすぎて申し訳ありません。 (10月6日 5時) (レス) id: aad4b6e5d2 (このIDを非表示/違反報告)
塩飴(プロフ) - ほんっっとに面白いです。更新待ってます。 (7月23日 22時) (レス) @page1 id: 0795a94fad (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:オトナノジジョウ | 作成日時:2023年6月17日 20時

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