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親密になりたくて ページ6

テルくんはムッとした表情で私の顔を覗き込んでいた。
なんだか、さっきまでの私みたいだ。

「竹中くんは友達だけど」

「友達? ただの友達にしては、やたら気にしているじゃないか」

「え、友達なら今どうしているか気になるでしょ。 ていうかただの友達じゃなくて、親友だよ」

そう答えてから、はてと首を傾げる。


「なんでそんなこと気にするの?」


「…………」

じとーっとした目線を向けるテルくん。

あ、やばい。 これは私は何かまずいことを言った時の反応だ。

あわあわと焦る私は周囲に目線を向けて……ベッドの下に何かが落ちていることに気づいた。

「あ、は、花沢くんっ。 ベッドの下に何か落ちてるよっ」

話題を変えようと必死な私は、ベッド下へと顔を覗かせる。すると、凄まじい勢いでテルくんが叫んだ。


「み、見るなっ!!!」



そんな制止を食らっても時すでに遅く、私は落ちている物をがっつりと目に焼き付けてしまった。


いわゆる成人向け雑誌だった。


「わ……あ……ご、ごめんなさいっ!」


肌面積の多い美女から目を逸らし、さらに部屋の隅へと飛び退ける。

ちらりとテルくんを見ると、現実世界でも見たことがないような真っ赤な顔で震えていた。


「あ、あの、本当にごめんなさい! 全然、私、引いてないから! そりゃ男子なら見るよねっ」

私は汗を吹き出しながらフォローの言葉を幾重にも重ねる。

その甲斐あってか、しばらくしてテルくんはきつく結んでいた唇を緩ませた。


「……君の世界の僕も、こんな格好悪い姿を見せていたのか?」

「そ、そもそも花沢くんは格好悪くないよ! ……でも、こんな顔真っ赤にしてる花沢くんは初めて見たかも」


思い返してみると、私の中のテルくんの印象はキザで優しくて少し意地悪で……でも色々悩んでいるみたいで。 私にとっては特別だけど、平凡な男の子でもあった。

でも、ここまで取り乱しているのはあんまり見たことないなぁ。


すると突然、テルくんは吹っ切れたように「ははっ」と笑い声をあげた。

「そうか! じゃあ今の僕の方が、君と親密になれたんだ。 そう悪いことじゃないな!」

「親密……うーん」

私は現実世界のテルくんともそれなりに絆を深めていた自負があるので、比較するような言い方をされると複雑になる。


でも、勝ち誇ったように笑う目の前の彼を見ていると、否定する気にはなれなかった。

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設定タグ:モブサイコ100 , 花沢輝気 , ぼっち   
作品ジャンル:アニメ
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オトナノジジョウ(プロフ) - 塩飴さん» ありがとうございます。更新がゆっくりすぎて申し訳ありません。 (10月6日 5時) (レス) id: aad4b6e5d2 (このIDを非表示/違反報告)
塩飴(プロフ) - ほんっっとに面白いです。更新待ってます。 (7月23日 22時) (レス) @page1 id: 0795a94fad (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:オトナノジジョウ | 作成日時:2023年6月17日 20時

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