検索窓
今日:5 hit、昨日:10 hit、合計:1,430 hit

照れテル ページ4

「ところで、さっきのはなんだ」

「え? さっきの、とは?」

「いや……その、試合中の掛け声だよ。 かっこ……いいとか言ってただろう」

「もしかして照れ」

「照れてない」


否定はやっ!

テルくんには顔を背けられているせいで、表情を窺えない。
けれど、ちらりと見える耳は真っ赤だった。

「なぁに、花沢くんならこんなの慣れてるでしょ?」

「慣れてるけど……」

すんなりと肯定するテルくん。 これが嫌味じゃないのがすごい。


「慣れてるのに……なんでだろうな」

私に聞こえるかどうかギリギリの声量で呟くテルくん。

と、その時、テルくんを呼ぶ声が背後から聞こえた。


「輝気くーん! 一緒にお昼食べよう」


その声の主を思い出した瞬間、ピリッと足がすくんだ。

私の真後ろに、安藤さんが立っている。


顔を背けていたテルくんは私の方に向き直って、安藤さんに返事をする。

「あ……ごめん、安藤さん。 今日は友達と食べるから……」

「佐藤くん達でしょー? 先に許可取っといたよ! 輝気くんと一緒に食べていい?って。 佐藤くんたち、いいよ!俺たちのこと気にしないでって笑顔で言ってくれたよ」

「……そう。 じゃあ一緒に食べようか」


テルくんの言葉にちくりと胸が痛む。 そして私は、気づくと腕を目一杯広げていた。


まるで、2人の間に立ち塞がるように。


「……え」


あっ。

テルくんの驚く声にハッと我に返る。

慌てて私は腕を閉じて、サッと2人の間から身を引いた。

イヤイヤする子供のような行動に出てしまった。 何をしているんだ、私は。


テルくんの顔を見れなくて、私はすぐに廊下の壁をすり抜けて逃げ出した。



*****


(テル)


お昼休みに安藤さんと弁当を食べた後、いつも通り5限と6限の授業を受けた。

そしてHRが終わり、帰り支度をして辺りを見回したところで気づいた。


彼女がいない。


彼女はいつも僕のそばにいるわけじゃないし、時折フラフラと徘徊していることは知っている。 でも、お昼休みに僕と安藤さんから逃げ出すように駆けていったことが気にかかる。

「成仏したのか……?」

自分で呟いて、その言葉に胸がちくりと痛むことに気づく。
いや、成仏したなら良いことじゃないか。

…………。


「いや、さっさと帰ろう」


カバンを持って教室を出ようとすると、にこにこと機嫌良さそうな安藤さんから声をかけられた。

「輝気くん、今から帰るの? 私と遊びに行かない?」

不貞腐れ→←いない



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (19 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
34人がお気に入り
設定タグ:モブサイコ100 , 花沢輝気 , ぼっち   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

オトナノジジョウ(プロフ) - 塩飴さん» ありがとうございます。更新がゆっくりすぎて申し訳ありません。 (10月6日 5時) (レス) id: aad4b6e5d2 (このIDを非表示/違反報告)
塩飴(プロフ) - ほんっっとに面白いです。更新待ってます。 (7月23日 22時) (レス) @page1 id: 0795a94fad (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:オトナノジジョウ | 作成日時:2023年6月17日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。