現在進行形ぼっちのあなたへ！４【モブサイコ100】 (ページ2)

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元の世界では出来なかったことページ2

テルくんとこそこそ雑談をしていると、体育教師がピーッと笛を鳴らした。

「よーし、じゃあチーム分けするぞー」

うぐっ、チーム分け……ぼっちには嫌な響きだ。

教師に指名されるがまま２つのチームに分かれた生徒は、これもまた教師に促されるまま試合を始めた。

「「「せーのっ、輝気くーん！！がんばってー！！」」」

甘〜い声がグラウンドに響き渡る。

女子の集団にロックオンされたテルくんは、軽く彼女らに手を振った。

「「「きゃーーー！」」」

あーあー、そういうファンサービス的な振る舞いをしちゃうから女子集団のサボりを助長させるんだよこのイケメンが！！

嫉妬を募らせて足元の小石を蹴ろうとするが、もちろん小石には触れられない。

「そうだ！」

今の私は幽体かつテルくんとはライトな距離感である。

今の私なら、女子集団と同じようにテルくんに応援を届けられるだろう。

……あんな風に好きな人を応援するの、ちょっと憧れてたんだよね。

によによと頰を緩ませた私は、手でメガホンを形づくる。

せーのっ！

「がんばれ花沢くーん！」

彼の耳に届くように名一杯声を張り上げる。ううん、慣れないな、これ。

テルくんの反応はというと、すんっと澄ました顔でボールを仲間へとパスしていた。

むむむ、なんだその反応は。ちょっと塩対応じゃないかい。

とはいえ、幽霊の私にファンサをするなんて、他人から見ればテルくん一人の奇行だと受け取られるだろう。

私に対しては無反応なのが適している。

でもなんだか、そのツンとした横顔を見ていると揶揄いたくなってしまった。

「輝気くんかっこいいー！」

そう声を張り上げた瞬間、テルくんの足がスカッとボールを空振った。

「おや！？」

い、いまテルくん動揺した！？

まさかの隙のある行動に、私はつけ上がってしまう。

ふふーん、イケメンたるもの「かっこいい」の一言で狼狽えてはいけないのでは？

仕方ないな、私が鍛えてあげよう。

「輝気くん頑張ってるねー！」

よし。

「輝気くんナイスバルクー！」

もういっちょ。

「輝気くん360度見つめてたーい！」

三連続で歓声を投げかけたところで声を張るのをやめた。

さすがに調子に乗り過ぎたな。後の仕返しが怖いのでここまでにしておこう。というか途中からボディビルダーへの声掛けみたいになってしまった。

いそいそとグラウンドを抜け出した私は、テニスコートへと足を運ぶ。

私には、会いたい人がいるからだ。