【Fate/go】元マスターがサーヴァントになりまして (ページ9)

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「うーーん、寒いねぇ外は」

　自分の姿ははっきり言って雪山に出るような服装ではないのだが、寒いねぇなどと冗談を相手に言えるほどの寒さしか感じないのはサーヴァント特有のものなのだろう。

「寒いけど今日は吹雪いていないし空が綺麗だよ、ほら見て」

　言われるがまま顔を上げるとまばらにある雲の隙間から星々が濃紺のキャンバスに零したかのように大きく瞬いている。

「わぁ、きれい……」

「喜んでくれたみたいで本当に嬉しいよ」

　私の肩を抱き寄せるアーサーの肩に頭を預ける。

「アーサーと初めて会って一緒に過ごしてた場所は街の光で星がこんなにも綺麗に見えなかったからね」

　真っ白の何もない地面と限りなく黒に近い空に光り輝く星々の風景に見とれているとアーサーが私の頭に自身の顔を付けてきた。

「えっ、何何？」

「キミの香りがする」

　何だそのイケメンでなければ通報されそうな恥ずかしいセリフ。

「今日はAの部屋で一緒に寝ていいかい？」

「……いい、よ」

　照れている自分も恥ずかしいが何となくアーサーの背中に手を回す。

「冷えるかい？」

「全然」

「風邪引くからもう少ししたら中に入ろうか」

「サーヴァントって風邪引くの？」

「さぁ、どうだろう？聞いたことはないな」
「なにそれ」

　なんて笑いあっていると後ろからサーヴァントの気配がしたので振り返る。

「はん、なにやら外で睦言を交わしておるサーヴァントがいると思えば貴様であったか、A」

　金の鎧を身に纏い、高圧的に喋りかけてくる男性、一度見たら二度と忘れない様な人物……

　ほ、本当に誰だ！？

　ぜ、全然思い出せないし、私の生前見た事のあるサーヴァントにはいなかった、居なかったよね！？

　思い出さなければ何か嫌なことが起きると思い。
黙って考え込む私の前にアーサーが出て私とその金ピカの男の間に入る形になる。

「ほぅ、Aの王子様気取りか？」

「ああ、彼女は私が守るべき子だ」

「そうか。まぁ、我には関係のない話だったな」

　そうだろ？Aと名前を呼ばれ顔を上げ高圧的な男の方を見るとピクリと眉間が動いたのが見えた。

「雑種、貴様クラスはランサーではないな？」

「はい？私はキャスターとして現界していますが？」

　ランサー？なにを言っているんだ？そう思っていたら金ピカのが踵を返した。

「そうか、そういう事もあるか、」

　クツクツと笑って消えていってしまった。

　一体どういう事なのだろう……