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「私の名前を呼んでくれるの…?お、覚えてる、の?」
驚きのあまりに涙が出そうになりしゃがみこむ。
「君がなぜここに……」
上から聞こえるアーサーの声も驚きで震えている気がする。
「A、ここは私が説明しようか?」
「マーリン!」
さっきまでうっとおしかったマーリンがすごい今は助け舟を出してくれている気がする…
ちょっと見直した……けど、
「いや、私が説明する」
すくっと立ち上がった時には自分の心の整理はついていた。
「久しぶり。アーサーまあ、ここではなんだしお茶でも飲まない?」
えへへ、っと笑えば先ほどの困惑の表情から一変、懐かしくも尊い優しい顔でアーサーは微笑んだ。
「A、なぜサーヴァントなんかに…」
私の用意されたマイルームにアーサーを案内し、適当な椅子に腰掛けてもらった。
「アーサーと別れてから数年後、聖杯戦争に巻き込まれちゃってね。まぁ、いろいろあって聖杯の力で座についたって訳」
「いろいろって、そんな…」
ベッドに腰掛ける私に投げかける視線は悲しいモノだ。
「そんな顔しないでよアーサー…」
「キミを聖杯や争いに一時は巻き込んでしまった僕が言うのも何だけど、キミには普通の生活を送って欲しかったんだ」
「……」
「また会いたいって思うこともあったかもしれないけれど、こういう形で会うなんて正直驚いているよ」
「私はアーサーと会えて嬉しかったよ?アーサーは嬉しくない?」
ベッドの角から立ち上がりアーサーの前に立ち、綺麗に膝に置かれた手を取る。
「嬉しい…のかな」
「どうして疑問形なの?」
困惑の表情を見せて綺麗な瞳を決して合わせようとしてくれないアーサーがいる。
「嬉しいんだけど、またキミが争いに巻き込まれて傷付くのを見たくない」
「アーサー……」
すっくとアーサーは立ち上がり私の手を引き寄せ抱きしめる。
「守ってあげたいんだ、Aのこと…」
「私、もう助けてって言えないんだね…」
無言の時間。もう何分この状態なのだろうか、と思い始めた瞬間プシュっと音がして扉が開く。
するとバタバタと人が倒れてくる。
「マスター!」
マスターととっさに口に出したが一緒に倒れてきた大柄な男性数人は誰だろう。
自然とアーサーと私の体は離れていた。
「あっ、えっと夕飯できてますよ…?」
マスター、その言い訳は難しいと思うんだけどな?
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桜夜(プロフ) - はじめまして! この小説とても好きです!更新楽しみにしています! (2018年3月9日 18時) (レス) id: 6cae1acb5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かなぁ | 作成日時:2018年3月4日 21時