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アイスキャッスルのリンクがある場所へ入り、さてフリーのジャンプ構成を決める。
演技後半に四回転を飛ぶか飛ばないかと話し合っている。
もちろん答えは飛ぶと勇利は即答する。
よしよし、とうなづくヴィクトルは彼に問う。
「この曲、テーマ変えた？」
それ私も思っていたことだ。
私の思い過ぎかと思っていたがそれについてはヴィクトルも感じていたみたいだ。
少し躊躇したかと思えば私たちに向き合って素直に勇利は口を開く。
「テーマは僕の愛について、です！」
前は自分の人生だったか。
随分テーマをガラリと変えたものだな。
「いいテーマだね」
そう言えばヴィクトルは私の話の上に重ねて言葉を発する。
「うん。最高のテーマだね。さぁ一気に仕上げるぞ！」
リンクに上がり練習し始める彼らを見て私は持ってきた手持ちのメモ帳を出す。
とりあえず、これから練習を見て思ったことを書き出してみて、まとめて衣装の案に何かなれば良いな。
そうして、リンクに向かう二人を私はメモすることにした。
……ぜっ、全然ダメだ！
何がダメって衣装をこうしたいやら案は出てくるのに、どれも女性っぽい。
勇利は女じゃない！分かってるのだが、もともと女性用の競技ドレスを描いていた私のクセが顕著に出ている。
とりあえず考えに詰まったら、一旦考えるのを辞めて寝る性格だからなのか、発想が枯渇しすぎて眠気さえ覚える。
「A、Aーー」
誰かに呼ばれてハッと顔を上げる。
「……ヴィクトル、何？」
「今日はもう帰るよ。こんな時間だ」
上着ポケットからスマホを取り出し時間を確認すると、確かにいつもと同じ帰りの時刻に近付いていた。
「うわーホントだー」
急いで帰宅の準備をする。
「何か良い案浮かんだ？」
浮かんでいたら、こんなに眉間にしわ寄せて悩んでないわ。
「いいや……微妙ーって感じかな。まぁ、勇利と相談しながら進める事にするよ」
そうだ。自分だけで衣装を作るワケじゃなかった。
今回は勇利自身がセルフプロデュースするんだった、とりあえず勇利にどういった衣装がいいか聴いてみよう。
荷物をまとめ終えた私はヴィクトルより先にリンクを出た。
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作者名：かなぁ | 作成日時：2016年11月25日 14時
