【ユーリ!!!】野球女と銀盤の王子2 (ページ9)

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夜中、いつもヴィクトルと早朝一緒に起床するので、それに備えていつもの通り早めに寝ていた。

「キャィン！」

「痛い！」

　マッカチンの鳴き声と誰かが私の足を踏む痛さに目が覚める。

「あわわ、ごめん！A！マッカチン！」

　正体は勇利だ。

「……勇利ぃ、こんな時間になにぃ……」

　私はうつ伏せになり枕を抱える。

　そんな彼の手にはノートパソコン。

「出来たよ！フリーの曲！」

　ご丁寧にヴィクトルの耳にイヤホンをさす勇利は音楽を再生するのにパソコンをいじっている。

「……」

　ヴィクトルが勇利と顔を合わせて頷きあっているのを見ると、この曲にもう決まったみたいだ。

「ほら、Aも聞いて」

　ヴィクトルはイヤホンを私の耳にさしてくる。

「それぐらい自分で出来るから～」

　イヤホンをヴィクトルから受け取り耳にさしつつ上体を起こして流れてくる音楽を聴く。

　全然違う。前聞いた曲より私は好きだ。

　……何だか雰囲気変わった？

　あ、まぁ作り直してるから雰囲気変わるのは当然か。

　眠っていた頭でいろいろ思考を巡らせて聴いていると曲が終わった。

「ど、どうかな？」

　感想を述べない私に勇利はおずおずと感想を求める。

「うん、イイね！私、これ好き」

　音楽に疎い私は主観でしか感想を述べられなくて申し訳なくなる。

　しかし、それで通じたのか良かったーとヴィクトルの足に座る。

「じゃあ曲も決まったことだし、振りが決まったら一緒に衣装の話しようね」

　私は眠くて落ちそうな瞼をカーブさせて微笑み、勇利の頭を撫でようと手を伸ばす。

「……あ、マッカチンと間違えた！」

「……あはは、」

　マッカチンをよしよしと撫でるクセがなぜか突然出てきてハッとする私に、頭を撫でられた勇利は苦笑いしてる。

「よし、じゃあ明日から忙しくなるね。Aも明日から忙しくなるよー」

　そう言い掛け布団を上にあげてくる。

「どーして子ども扱いされてるのか分からないんだけど……」

　そう言いつつも布団に潜り始めるわたしを見て、勇利はベッドから降りる。

「じゃあ勇利おやすみ」

「おやすみなさーい」

　部屋を出て行く勇利に向かって就寝の挨拶をすると、「おやすみなさい」と返事が返ってきた。

「さて、じゃあヴィクトルもおやすみ」

「うん。おやすみ」

　向かい合う形になったかと思えばヴィクトルが私の頭を撫でた。

「ホント、子ども扱いが過ぎるよね」

　私はそう言い瞼を落とした。